日本ではあまり見かけないラウンドアバウト(環状交差点)。海外、特にヨーロッパではごく当たり前の光景ですよね。信号機がないのにスムーズに車が流れ、どこか洗練された印象さえ受けます。今回は、このラウンドアバウトが日本で普及しない理由、そしてそのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
ラウンドアバウトとは?その仕組みとメリット
ラウンドアバウトとは、中心に円形の島がある交差点のこと。車はそこを一方通行で回り込み、行きたい方向へ出ていきます。日本では右回り、右側通行の欧米では左回りになります。
環境にも優しく、安全性も高い
ラウンドアバウトの最大のメリットは、信号機が不要な点です。赤信号での待ち時間がなくなり、アイドリング時間も削減できるので環境負荷軽減に繋がります。また、常に一方通行のため、車の流れがスムーズになり、交通渋滞の緩和にも効果的です。
さらに、車は必ずハンドルを切った状態で徐行するため、速度が自然と抑えられます。万が一、衝突事故が起きても、正面衝突や高速での衝突といった重大事故になりにくいのも大きなメリットです。信号がないため、災害時の停電にも強いという利点もあります。
alt沖縄県糸満ロータリーのラウンドアバウト。信号機がなく、スムーズな交通の流れを実現。
なぜ日本で普及しない?ラウンドアバウトのデメリット
これだけのメリットがあるラウンドアバウト。なぜ日本では普及しないのでしょうか?いくつか理由が考えられます。
運転マナーの問題
ラウンドアバウトでは、進入する車が既に環状内を走行している車に優先権を譲る必要があります。しかし、日本ではこのルールが浸透しておらず、無理に進入しようとする車も見られます。交通安全教育推進協会の山田一郎氏(仮名)は、「ラウンドアバウトの普及には、ドライバーの意識改革と徹底した交通教育が不可欠」と指摘しています。
スペースの問題
ラウンドアバウトを設置するには、ある程度のスペースが必要です。土地が限られている日本の都市部では、スペース確保が難しい場合も多いでしょう。
導入コスト
既存の交差点をラウンドアバウトに変更するには、工事費用がかかります。初期投資の大きさも普及を阻む一因と言えるでしょう。
ラウンドアバウトの未来
国土交通省は、ラウンドアバウトの導入促進に取り組んでおり、徐々にその数は増加しています。将来的には、自動運転技術との組み合わせで、さらに安全性と効率性が向上する可能性も期待されています。
altラウンドアバウトの構造。進入車は環状内の車に優先権を譲る必要がある。
まとめ:ラウンドアバウトは日本の交通を変えるか?
ラウンドアバウトは、環境負荷軽減、安全性向上、渋滞緩和など多くのメリットを持つ交差点です。普及には課題もありますが、今後の交通インフラにおいて重要な役割を果たす可能性を秘めています。