近年、医学部卒業後すぐに美容クリニックに就職する若手医師、通称「直美(ちょくび)」が増加しています。地方の医師不足が深刻化する中で、この現象は様々な議論を巻き起こしています。この記事では、「直美」の現状、背景、そして美容医療の魅力に迫ります。
美容医療の現場:求められるスキルとは?
常磐病院(福島県)の乳腺外科医である尾崎章彦医師は、直美医師の現状について研究を行い、英国の医学誌に論文を発表しました。尾崎医師は、20代の直美医師にインタビューを行い、SNSでの発信や自身の見た目に気を遣う医師が多いことに気づきました。顧客獲得のためには、医師自身も“キラキラ系”であることが求められる、まるでホストのようなスキルが必要だと尾崎医師は指摘します。
医療業界のイメージ
高収入という魅力:保険医との格差
なぜ若手医師たちは、保険診療ではなく美容医療を選ぶのでしょうか?その背景には、収入の大きな差があります。美容クリニック「MK CLINIC」日本橋院の石田雄太郎院長は、その理由を語ってくれました。
石田院長は、地方で開業医をしている父親の後を継ぐつもりでしたが、研修医時代に美容医療の魅力に気づき、転向を決意しました。自身も美容クリニックのヘビーユーザーだったという石田院長にとって、美容医療は自然な選択だったと言います。
臨床研修医から専門研修医に進んだ場合の年収は700万~800万円、大学病院の教授で1000万円前後ですが、大手美容クリニックに就職すると1年目から開業医並みの2000万円を超える収入を得ることができます。半年で院長に抜擢されるケースもあり、成功すれば億単位の収入も夢ではありません。
専門研修を経ずに美容医療へ:直美という選択
形成外科などの専門研修を経ずに美容医療に進むという選択は、一見すると近道に見えるかもしれません。石田院長はなぜ直美を選んだのでしょうか?
美容整形ビフォーアフター
研修医時代に多くの美容医療志望の同僚と出会い、「美容に進むのはけしからん」という固定観念が崩れたと石田院長は語ります。高収入という魅力もさることながら、美容医療への情熱と、時代の変化が直美という選択を後押ししていると言えるでしょう。
美容医療の未来:直美現象が医療にもたらす影響
直美現象は、地方の医師不足を加速させる可能性がある一方、美容医療の技術革新を促す側面も持っています。今後、直美医師たちがどのように医療界に貢献していくのか、注目が集まります。