デンマーク首相、米副大統領発言に反論「最良の同盟国」

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、アメリカのマイク・ペンス副大統領による「デンマークは良い同盟国ではない」という発言に反論し、デンマークはアメリカにとって「最も重要かつ最良の同盟国の一つ」であると強調しました。グリーンランド買収問題を巡る両国の緊張関係が浮き彫りとなる中、フレデリクセン首相は同盟国としてのデンマークの立場を明確に示しました。

米副大統領発言への反論

フレデリクセン首相は、ブリュッセルでの記者会見でペンス副大統領の発言に強く反論しました。「何十年もの間、アメリカと共に世界平和のために尽力してきたデンマークが『悪い同盟国』とレッテル貼りされるのは容認できない」と述べ、長年にわたる両国の協力関係を強調しました。

デンマークのフレデリクセン首相デンマークのフレデリクセン首相

今後の米デンマーク関係

フレデリクセン首相は、今回の発言の背景にあるグリーンランド買収問題について直接言及することは避けましたが、今後もアメリカとの協力関係を維持・発展させていく方針を示しました。国際政治アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「今回のフレデリクセン首相の発言は、アメリカとの関係悪化を懸念する国内世論を意識したものと言えるでしょう。グリーンランド問題でアメリカの強硬姿勢が目立つ中、デンマーク政府は難しい舵取りを迫られています」と分析しています。

グリーンランド問題の影響

2019年にトランプ前大統領がグリーンランドの買収を提案したことで、米デンマーク関係は緊張状態に陥りました。フレデリクセン首相は当時、この提案を「不条理」と一蹴し、両国間の溝が深まりました。今回のペンス副大統領の発言も、この問題が根底にあるとみられています。グリーンランドは豊富な天然資源を有しており、地政学的な重要性も高まっていることから、アメリカにとって戦略的に重要な地域となっています。

デンマークの外交戦略

デンマークは、NATO(北大西洋条約機構)加盟国としてアメリカとの同盟関係を重視してきました。しかし、グリーンランド問題を契機に、独自の外交戦略を模索する動きも出ています。EU(欧州連合)との連携強化や、北極圏におけるプレゼンス向上など、多方面での外交努力が続けられています。

デンマーク首相、EU会合に出席デンマーク首相、EU会合に出席

今後の展望

グリーンランド問題の行方次第では、米デンマーク関係がさらに複雑化する可能性も否定できません。フレデリクセン首相は、アメリカとの対話を継続し、相互理解を深めることで、両国の関係改善を図りたい考えです。国際社会は、今後の両国の動向を注視しています。