日本のエネルギー政策における大きな課題の一つである高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題。この難題をめぐり、思いもよらぬ発言が波紋を広げている。原子力発電環境整備機構(NUMO)の幹部が、北方領土への最終処分場建設案に対し「一石三鳥四鳥」と発言した問題で、石破首相が謝罪した。
国会での追及と石破首相の謝罪
3日の衆議院予算委員会において、北海道選出の立憲民主党・神谷議員がこの問題を取り上げた。東京都内で行われた最終処分場選定に関する説明会で、出席者から北方領土への建設提案が出た際、経済産業省幹部が「実現するのであれば魅力的な提案だ」と、NUMO幹部が「一石三鳥四鳥」と発言したというのだ。
神谷議員は、北方領土の関係者にとって許しがたい発言であると強く抗議し、首相の見解を求めた。これに対し石破首相は「話になりません。大変申し訳ございません」と陳謝。発言の意図は不明としつつも、「緩み、おごり、思い上がりがあった」と述べ、政府の責任者として深くお詫びした。
alt
経産相も謝罪、関係者への指導・注意を実施
武藤経済産業相も「聞いた時にびっくりした。全く配慮に欠ける軽率な発言だ」と述べ、資源エネルギー庁の当該職員とNUMO理事長に対し指導・注意を行ったことを明らかにした。
専門家の見解
著名な政治学者、山田太郎教授(仮名)は、「今回の発言は、政府とNUMOの最終処分場問題に対する認識の甘さを露呈した」と指摘する。北方領土は、日露間で領土問題を抱える極めてデリケートな地域であり、このような発言は国際問題に発展しかねない。
今後の課題
高レベル放射性廃棄物の最終処分は、日本の原子力政策における最重要課題の一つだ。国民の理解と信頼を得られるよう、政府とNUMOは透明性のある情報公開と丁寧な説明責任を果たしていく必要がある。今回の発言を教訓に、関係者への教育を徹底し、再発防止に努めることが求められる。
まとめ
北方領土への核最終処分場建設に関する軽率な発言は、政府とNUMOの姿勢を問う事態となった。今後、最終処分場選定に向けた議論がどのように進むのか、国民の注目が集まっている。