白血病を乗り越え難関中学合格 男児の闘病と学校生活

この春、「男子御三家」と呼ばれる超難関中高一貫校に入学した一人の男児がいる。12歳の彼が迎えた晴れやかな門出の裏には、小学5年生の時に診断された白血病との壮絶な闘病生活があった。難病を乗り越え、中学受験を突破した彼の経験、現在の学校生活、そして闘病中の苦悩について聞いた。

闘病と両立する中学校生活

彼は都内の超難関男子校で、英会話や理科実験の授業に目を輝かせながら学校生活を送っている。しかし、現在も白血病の治療は続いており、検査のため週に2回は早退が避けられない。取材時も点滴を携帯して登校していた。治療による影響で頭髪がないため、登校初日はウィッグを使用したが、暑さで外してしまった。クラスメートはそれを自然に受け止め、笑うことはなかったという。欠席しがちになる彼のために、クラスの壁にはLINEのQRコードが貼られ、担任の先生はクラス全体に「学校のこと、なんでも連絡してあげて」と伝えた。友達からは、授業の遅れがないように頻繁にLINEメッセージが届くなど、周囲の温かいサポートを受けながら学業を続けている。

突然の宣告、絶望的な入院生活

病気が判明したのは、一昨年の11月、彼が小学5年生の時だった。数日続く体調不良から大学病院を受診し、白血病と診断された。予兆なく突然の宣告に、目の前が真っ暗になったという。当時の心境を作文に綴っており、そこには「『塾の組分け試験』『修学旅行』『冬休み長野旅行』という文字が涙でにじんで遠ざかる。『これは夢なのか。本当にこんなことが起こっているのか』『なぜ急にこんなことになってしまったのだろう』『これから僕はどうなってしまうのだろう』。頭の中をぐるぐる回る思考たち。でも、その思考は一向にまとまりそうにない」と記されている。

白血病との闘病を乗り越え、難関中学合格を果たした男児(写真:提供)白血病との闘病を乗り越え、難関中学合格を果たした男児(写真:提供)

入院生活は1年半に及んだ。薬の副作用で合併症や感染症にも見舞われ、意識を失ったり、膵炎による苦痛、高熱で自分が自分でなくなるような経験を繰り返した。鉛筆ほどの太さの注射や点滴を体じゅうに刺され、先の見えない治療が続いた。痛さや辛さに加え、社会からの断絶感や取り残され感による絶望的な気持ちにもなったという。作文にはさらに、「数日で退院していく他の子達への嫉妬、やり場のない怒り、失った日常への懐古、社会から断絶され取り残されていくことへの不安、全てが辛かった。ここは地獄だと思った」と、その壮絶な心境が克明に記されている。

過酷な闘病生活と中学受験という二つの大きな壁を乗り越えた彼の経験は、多くの人々に希望と勇気を与えるだろう。現在も治療は続くが、彼は前向きに新しい学校生活を歩み始めている。

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