イスラエル軍は2月2日、ヨルダン川西岸における2週間以上にわたる軍事作戦で、武装勢力メンバー少なくとも50人を殺害したと発表しました。ジェニン難民キャンプでは建物の破壊も行われ、緊張が高まっています。今回の軍事作戦の背景、パレスチナ側の反応、そして今後の展望について、詳しく見ていきましょう。
ジェニン難民キャンプで20棟以上の建物破壊
イスラエル軍は、西岸北部ジェニンで「テロリストのインフラとして使用されていた」建物を破壊したと発表。その数は23棟に上るとのことです。パレスチナ解放機構(PLO)の通信社WAFAも、ジェニン難民キャンプ東部で約20棟の建物が同時に爆破され、爆発音はジェニン市全体に響き渡ったと報じています。AFPの記者は、爆発後に濃い煙が立ち上る様子を目撃しています。
ジェニン難民キャンプで立ち上る煙
「鉄の壁」作戦:35人以上の武装勢力メンバーを排除
イスラエル軍は1月21日、ジェニンにおけるパレスチナ武装勢力の一掃を目的とした大規模攻撃を開始。「鉄の壁」と名付けられたこの作戦で、35人以上の武装勢力メンバーを排除、100人以上の指名手配犯を拘束したと発表しました。さらに、1月14日開始の別の作戦でも、15人以上の武装勢力メンバーを空爆で排除したと、軍報道官はAFPに語っています。
パレスチナ側の犠牲:戦闘激化で多数の死者
パレスチナ保健省によると、2月2日にも西岸でイスラエル軍によって73歳と27歳の男性2人が射殺されました。2023年10月にガザでイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、西岸全域でも戦闘が激化。パレスチナ保健省は、戦闘開始以来、西岸で少なくとも883人のパレスチナ人がイスラエル軍や入植者によって殺害されたと発表しています。一方、イスラエルの公式統計では、同期間に少なくとも30人のイスラエル人がパレスチナ側の攻撃やイスラエル軍の攻撃中に死亡しています。
専門家の見解:和平への道は険しい
中東情勢に詳しい東京大学の中東研究センター教授(仮名)、佐藤一郎氏は、「イスラエルとパレスチナの対立は根深く、和平への道筋は見えない」と指摘します。「双方の不信感は深く、暴力の連鎖を断ち切るためには、国際社会の積極的な関与が必要だ」と警鐘を鳴らしています。
緊張続くヨルダン川西岸:今後の行方
イスラエル軍の軍事作戦は、パレスチナ側の反発を招き、更なる暴力の連鎖を引き起こす可能性があります。国際社会は、事態の沈静化に向けて、両者への働きかけを強化する必要があります。ヨルダン川西岸の緊張は、中東全体の不安定化につながる恐れがあり、今後の動向に注視していく必要があります。