中国江西省南昌市に住む25歳の女性が、九つ子を妊娠するも全ての子を失ってしまったという悲しいニュースが世界を駆け巡っています。妊娠から出産まで、様々な困難に立ち向かった女性の壮絶な道のり、そして多胎妊娠の現実について、詳しく見ていきましょう。
九つ子妊娠の奇跡と現実
結婚後、なかなか子宝に恵まれなかったこの女性は、排卵誘発剤の注射を受けた後、なんと九つ子を妊娠していることが判明しました。当初は喜びに満ち溢れていた夫婦でしたが、九つ子を育てる経済的な負担や、子どもたちの健やかな成長を考えると、容易な道のりではないことは明らかでした。医療陣も多胎妊娠に伴うリスクを考慮し、中絶手術を勧めたといいます。
九つ子の超音波写真
夫婦は苦渋の決断の末、7人の胎児を減胎する手術を受けました。残された2人の胎児を大切に育てようと決意を新たにした矢先、更なる悲劇が夫婦を襲います。
予期せぬ悲劇と母体の苦悩
妊娠後期、定期健診で深刻な子宮頸部感染症が見つかり、破水してしまったのです。医師たちは母体の命を守るため、残る2人の胎児も諦めざるを得ないと判断しました。
夫は「妻の命を救うためには、他に選択肢がなかった」と語っています。九つ子全てを失ってしまった女性は、SNSに「長い間頑張ったけれど、結局子どもたちを守ることができなかった」と悲痛な思いを綴りました。多くのユーザーから慰めの言葉が寄せられています。
多胎妊娠の課題とリスク
産婦人科医の山田先生(仮名)は、「多胎妊娠は母体にも胎児にも大きな負担がかかる」と指摘します。「胎児が子宮内で十分に成長できない可能性が高く、早産や低体重で生まれるリスクも高まります。また、出産後も障害や脳性まひなどのリスクが懸念されます。」
多胎妊娠のイメージ図
世界の多胎妊娠の事例
九つ子が無事に誕生し、成長した例は極めて稀です。過去にはオーストラリアやマレーシアで九つ子が誕生した事例が報告されていますが、いずれも生後数日で亡くなっています。西アフリカのマリでは、自然妊娠で九つ子が誕生し、1歳の誕生日を迎えたという奇跡的な事例も存在しますが、これは非常に例外的なケースと言えるでしょう。
八つ子の事例と体外受精の影響
八つ子の出産例としては、2009年にアメリカ、2010年に中国で報告されています。これらのケースは、いずれも体外受精による妊娠でした。体外受精は多胎妊娠のリスクを高めることが知られており、倫理的な課題も抱えています。
この中国女性のケースは、多胎妊娠の奇跡と現実、そしてそのリスクを改めて私たちに突きつけました。妊娠・出産は命がけの出来事であり、母子の安全を第一に考えることが何よりも大切です。