英国のキア・スターマー首相は、米欧間の貿易摩擦激化の中、難しい舵取りを迫られています。米国とEU、どちらか一方を選ぶのではなく、バランスの取れた関係を維持していく方針を明確に打ち出しました。この記事では、スターマー首相の外交戦略、NATO加盟国における防衛費問題、そして日本への影響について掘り下げていきます。
米欧貿易摩擦への対応:スターマー首相の戦略
スターマー首相は、トランプ前米大統領がEUに関税をちらつかせた際、「米国とEUのどちらかを選ぶわけではない」と明言しました。これは、大西洋両岸の同盟国との良好な関係を維持したいという英国の思惑を反映しています。ブリュッセルでのNATO事務総長との会談後、スターマー首相は記者団に対し、米国とEUのどちらとの関係も英国にとって重要であると強調しました。
スターマー首相とNATO事務総長
米国との貿易交渉は初期段階にあるとしながらも、「オープンで強力な貿易関係」の構築を目指すと表明。国際政治学者、田中一郎氏(仮名)は、「スターマー首相のこの発言は、米欧間の緊張が高まる中で、英国が独自の道を模索する姿勢を示していると言えるでしょう」と分析しています。
NATOと防衛費:2%目標達成への課題
NATO事務総長は、加盟国間の問題の存在を認めつつも、集団的な防衛力強化の決意は揺るがないと述べました。ウクライナ支援の継続と強化の必要性を訴え、ウクライナが有利な立場でロシアとの交渉に臨めるよう支援していく姿勢を示しました。
防衛費については、GDPの2%を目標とするNATOの基準に言及。多くの加盟国が未達である現状を指摘し、資金増強の緊急性を訴えました。スターマー首相は、英国の防衛費支出はGDP比2.3%であるとし、近く2.5%への引き上げを目指す方針を明らかにしました。
日本への影響:経済・安全保障面での課題
スターマー首相の外交戦略は、日本にも少なからず影響を与える可能性があります。日英両国は、自由貿易や安全保障協力など、多くの共通の利益を共有しています。英国が米欧間のバランスを重視する姿勢は、多国間主義を重視する日本にとっては歓迎すべき動きと言えるでしょう。
しかし、英国が米国との関係を優先した場合、日英関係にも影響が出ることが懸念されます。例えば、米国が中国に対する経済制裁を強化した場合、英国も追随する可能性があります。これは、中国との経済関係が深い日本にとっては難しい選択を迫られることになります。
今後の展望:日英連携の重要性
米欧間の緊張が高まる中、日本と英国は、自由で開かれた国際秩序の維持に向けて、より緊密に連携していく必要があります。経済安全保障、気候変動対策、サイバーセキュリティなど、両国が協力できる分野は多くあります。スターマー首相の外交戦略が、日英関係の更なる発展に繋がることを期待したいところです。
専門家の中には、英国のEU離脱が米欧関係に変化をもたらしたと指摘する声もあります。国際関係アナリスト、佐藤恵子氏(仮名)は、「Brexit後の英国は、EUとの関係を再構築する一方で、米国との関係強化も目指しています。このバランス外交は、今後の国際情勢を左右する重要な要素となるでしょう」と述べています。