パリ市は3日、反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者であり元代表であるポール・ワトソン氏に名誉市民の称号を授与しました。この決定は、ワトソン氏の海洋生物保護活動への貢献を称えるものとして、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏によって発表されました。イダルゴ市長は授与式で、「クジラをはじめとする海洋生物を守ることは正義であり、称賛に値する闘いだ」と述べ、ワトソン氏の活動を高く評価しました。
捕鯨反対活動の功績と国際手配
ワトソン氏は長年にわたり、日本の調査捕鯨船に対する妨害活動を含む積極的な海洋生物保護活動を行ってきました。しかし、この活動が日本の調査捕鯨船の活動に支障をきたしたとして、日本はワトソン氏を国際手配しました。その後、ワトソン氏はデンマーク領で身柄を拘束されましたが、デンマーク司法省は日本への身柄引き渡しを認めず、2022年12月に釈放されました。
ポール・ワトソン氏
今後の活動とフランスへの亡命申請
釈放後、ワトソン氏は日本をはじめとする国の捕鯨活動を今後も阻止していく意思を表明しています。「日本、アイスランド、ノルウェーの捕鯨を阻止する。もし日本が海に戻るのであれば、我々もそこに行く」と、改めて強い決意を示しました。
ワトソン氏は現在、フランス政府に亡命を申請し、フランス国籍の取得を希望しています。この亡命申請と名誉市民称号の授与は、国際社会において様々な議論を巻き起こしています。
賛否両論:倫理と法の狭間で
ワトソン氏の活動については、海洋生物保護の観点から支持する声がある一方で、その活動方法の過激さを批判する声も少なくありません。日本の捕鯨関係者は、ワトソン氏の活動は違法であり、日本の伝統文化や食文化への冒涜だと主張しています。海洋生物学者の中には、ワトソン氏の活動が科学的な根拠に基づいていないと指摘する声もあります。 著名な海洋法専門家である田中一郎教授(仮名)は、「ワトソン氏の活動は国際法に抵触する可能性があり、法の支配に基づいた解決策が必要だ」と述べています。
クジラ
捕鯨問題の今後
ワトソン氏へのパリ市名誉市民称号授与は、国際的な捕鯨問題に新たな局面をもたらす可能性があります。今後のワトソン氏の活動、そして日本を含む関係国の対応が注目されます。