中村アンが『おむすび』に加える“スパイス”とは? 画面の印象を変える圧倒的な存在感


【写真】『連続ドラマW 災』で仕事中毒の刑事役を務める中村アン

 2月3日に放送された第86話から、委託会社の管理栄養士である柿沼莉子(しまずい香奈)との意見の相違が描かれたように、他の医療職との関わり方の難しさが取り上げられていきそうだ。出演者を見てみると、医師が3人登場するようだが、なかでも気になるのが中村アンが演じる外科医の蒲田令奈だ。

 令奈のキャラクター紹介を見てみると、「丁寧な口調だが、自己中心的。術後の栄養補給などは管理栄養士に丸投げする」と、インパクトのある言葉が並ぶ。結との衝突は避けられなさそうだ。

 中村は、令奈のようなクールで真意が見えにくい役柄がよく似合う。特筆したいのは、中村が演じる役柄が画面の中に現れると、不思議と作品全体が締まったような印象になることだ。

 例えば、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)では、サブストーリーとなる彩夏と寺井陽人(丸山隆平)の一筋縄ではいかない恋模様から目が離せなかった。また、『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』(フジテレビ系)でも、心の内が読めず、正体も分からない柚杏は、作品の謎の1つを担う重要な存在であった。中村の主張しすぎず、それでいて確実に画面の印象を変えてくれる存在感は、まるでひとつまみのスパイスのようで、彼女の登場によって作品に新たな味わいが加わる。

 そして、その味わいによって作品全体の見応えが底上げされているような印象さえ感じられるのだ。これは、中村が作品に別の角度から光を当てるバランサーとしての役割が巧みだからといえるだろう。

『おむすび』最終章で令奈(中村アン)が担う重要な役割

 バランサーとして作品に違った魅力を加えつつ、空気を変える存在感を出せる中村は、最終章に突入した『おむすび』にとって、最適の俳優といえるだろう。令奈は、理事長に東京の病院から引き抜かれた凄腕の外科医という設定。関西弁や博多弁、栃木弁など、温かみのある方言が飛び交う『おむすび』において、中村の落ち着いた声で発せられる標準語は異質さを帯びるだろう。令奈が喋るだけで、これまでにはなかったピリッと感が味わえそうだ。

 また、結と令奈のやりとりが、病院における管理栄養士の役割を描き出し、最終章で『おむすび』が描く「食と命」、そしてその背後にある人間関係の複雑さを深く掘り下げることにつながるだろう。患者の健康を維持するために、さまざまな職種が関わって協力し合い、時にはぶつかり合うことで、どんなドラマが生まれるのか。その先には、『おむすび』が描き続けてきた「人と人が食でつながる」物語の集大成が待っているのかもしれない。

 今回が朝ドラ初登場となる中村は、「病院で結がさまざまな人々と出会い、成長していく姿を描く中で、私も愛のある圧で見守る存在になれたら」とコメントしている。結にとっての壁として、どんなやりとりを見せるのか期待したい。(※)

参照
※https://realsound.jp/movie/2025/01/post-1904265.html

古澤椋子



Source link