日米首脳会談を控え、世界が注目するトランプ大統領。就任直後から打ち出された”トランプ関税”は、カナダ、メキシコ、中国、EUなど世界各国を巻き込み、国際的な緊張を高めています。日本はこの強力なリーダーシップを持つトランプ大統領と、どのように向き合っていくべきでしょうか?この記事では、元交渉担当者からの貴重なアドバイスと共に、効果的な交渉術を探ります。
トランプ関税:世界経済への影響
就任後間もなく世界を揺るがしたトランプ関税
トランプ大統領は、就任後わずか2週間で、カナダ、メキシコへの鉄鋼・アルミニウム追加関税を表明し、世界経済に衝撃を与えました。中国にも追加関税を課す姿勢を示し、各国は報復措置を検討。カナダはアメリカからの輸入品に関税を課す対抗措置を打ち出し、メキシコも緊急対策会議を開き、報復関税を示唆。中国はWTOへの提訴を表明するなど、国際社会は緊迫した状況に陥りました。その後、トランプ大統領はカナダ、メキシコに対する関税を一時的に延期する大統領令に署名しましたが、予断を許さない状況が続いています。
専門家による交渉術:トランプ氏の思考を読み解く
トランプ大統領との交渉経験を持つ専門家
第1次トランプ政権との貿易交渉を担当した関西学院大学・総合政策学部の渋谷和久教授は、トランプ大統領との交渉における日本の戦略を3つ提言しています。
Win-Winの戦略:エネルギー協力
1つ目は、LNGの共同開発や米国産LNGの購入です。日本はエネルギー供給源の多様化を図ることができ、アメリカは対日貿易赤字の削減につながるため、双方にとってメリットのあるWin-Winの関係を構築できます。
国際協調:WTO改革への連携
2つ目は、WTO改革への協力です。トランプ大統領がWTOを脱退しないよう、バランスを取りながら、共に改革を進めていく姿勢を示すことが重要です。
経済的メリット:日本企業の対米投資拡大
3つ目は、日本企業による対米投資の拡大です。アメリカ経済への貢献をアピールすることで、良好な関係を維持・強化できる可能性があります。
渋谷教授は、トランプ大統領は「自分が欲しいものを手に入れられれば満足するタイプ」だと分析しています。オバマ政権時代よりも、交渉において各国から多くのものを得ようとする姿勢は薄く、具体的な成果を重視する傾向があると指摘。さらに、トランプ大統領の側近からの情報には注意が必要で、必ずしも正確な情報とは限らないため、大統領本人や最側近と直接交渉することが重要だと強調しています。
これらの戦略を踏まえ、日本はトランプ大統領との日米首脳会談に臨むことになります。世界経済の行方を左右する重要な局面において、日本はどのような外交手腕を発揮するのでしょうか。