【ワシントン=阿部真司】米国務省は5日、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河を巡り、米政府の船舶の無料通航をパナマ政府が認めることで合意したと、SNSで発表した。トランプ米政権の圧力を受け、パナマ側が譲歩した可能性がある。
米側の発表に対し、パナマ運河庁は声明で「調整はしていない。対話を始める用意はある」と述べた。トランプ米大統領はパナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領と近く電話会談する方針で、交渉の最終調整を行っているとみられる。
運河の出口にある二つの港湾は香港系の企業が管理しており、トランプ氏は通航料金が高すぎると不満を示していた。米中対立が激化した際に運河が閉鎖される事態を懸念し、軍事力行使も示唆している。ルビオ米国務長官は2日、パナマでムリノ氏と会談し、中国の影響力排除を求めた。
一方、米ブルームバーグ通信は4日、港湾を管理する香港系企業を巡り、パナマが管理契約の解除を検討していると報じた。管理契約は1997年に最初に交わされ、2021年の更新で47年まで延長されている。