トランプ米大統領との初の首脳会談を終え、帰国した石破茂首相は9日、NHKの報道番組で、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について「単なる買収ではない。投資を行い、あくまで米国の会社であり続ける」と述べた。「買収ではなく投資だ」というトランプ氏の認識に呼応した発言だ。
【写真】日米首脳会談で握手し笑顔を見せる石破茂首相(左)とトランプ米大統領=2025年2月7日午後0時25分、米ワシントンのホワイトハウス、恵原弘太郎撮影
首相は「『鉄は国家なり』という言い方もあるが、(米側に)鉄への思い入れはものすごくある。かつてUSスチールは世界一の企業だった。それを日本に買われると琴線に触れてしまう」と指摘。「米国企業であり続け、そこで高い品質のものをつくることがトランプ氏にはすごく大事」と説明した。
関税引き上げの対象に日本が含まれる可能性については「わからない」と述べるにとどめたが、「関税はお互いがプラスにならなければならない。一方が搾取するような形では長続きするはずがない」とも言及。日本の自動車メーカーが対米投資で雇用を生み出しているとして「それでも関税だという話になるか。ストレートにそうはならないだろう」との見通しを示した。
トランプ政権の発足で国際協調や自由貿易への悪影響が懸念されているが、首相は「米国が役割を果たすことが世界全体の発展になり、安定につながる。米国は相応の責任を果たすべきだと何度か強調した」と述べ、直接トランプ氏と議論したと明らかにした。
朝日新聞社