埼玉県八潮市で発生した県道陥没事故から2週間以上が経過した今も、トラック運転手の捜索は難航を極めています。復旧には数年を要するとの見示もあり、一刻も早い捜索開始が望まれる中、立ちはだかる3つの大きな壁について、jp24h.comが詳しく解説します。
依然として困難な捜索活動
八潮市陥没事故現場:撤去された農業用水路
8日、夜を徹した作業の末、現場上空に宙づりになっていた農業用水路の撤去が完了しました。しかし、草加八潮消防局の幹部は、「上からの落下物のリスクは軽減されたものの、依然として水と土砂が穴の中に溜まっており、捜索活動は困難な状況が続いている」と語っています。
当初、直径約10メートルと見られていた陥没穴。転落した運転手との会話も確認できていたため、早期の救出が期待されていました。しかし、その希望を打ち砕いたのが、穴の中に流れ込む大量の水でした。
困難の壁1:止まらない水
まず、雨水が穴の中に流れ込みました。陥没の影響で地中の雨水管が損傷し、雨水が流入したのです。埼玉県は上流域に土嚢を積み上げるなどして流入阻止を試みました。
しかし、今度は破損した下水道管から下水が湧き出し始めました。陥没現場の下流部がコンクリートやアスファルトのがれきで詰まり、下水の流れがせき止められたことが原因とみられています。
埼玉県は水位を下げるため、28日から上流域の12市町、約120万人に排水の自粛を要請。2月4日には「可能な限りの節水」を強く呼びかけましたが、大野元裕知事も認めるように、その効果は限定的でした。県幹部は「正直、手詰まりだ」と苦悩を明かしています。
脆弱な地盤、そして地下水
困難の壁2:6000年前は海だった地盤
八潮市が位置する埼玉県東部は、中川や綾瀬川など河川に囲まれた低地帯です。八潮市によると、6000年前には遠浅の海だったとのこと。
だいち災害リスク研究所の横山芳春所長によると、この地域は泥や砂の多い土壌で、地表から約20メートルは特に脆弱な地盤となっています。また、地下水位も高く、地元の建設業者によれば「1メートル掘ると水が出てくる」ほどだといいます。
困難の壁3:高い地下水位
この高い地下水位が、捜索活動をさらに困難にしています。ポンプで水を汲み上げても、すぐに地下水で満たされてしまうため、効果的な排水作業が難航しているのです。
今後の捜索活動と復旧への課題
今回の事故は、都市部の脆弱なインフラと、それに伴う災害リスクを改めて浮き彫りにしました。運転手の捜索と並行して、今後の復旧に向けた課題も山積しています。専門家は、地盤の強化や排水システムの改善など、抜本的な対策が必要だと指摘しています。
一刻も早い運転手の救出と、安全な街の再建が待たれます。