北朝鮮のIT企業、違法コピー疑惑?国産化推進の裏でMS Excelを使用か

北朝鮮は「自力更生」を掲げ、海外技術の流入を厳しく規制しているにも関わらず、国内最優秀IT企業とされる「プルンハヌル(青い空)」電子製品工場で、Microsoft Excelを使用している様子が確認されました。これは、北朝鮮の技術自立を目指す姿勢と矛盾する実態を浮き彫りにしています。

国産化アピールと矛盾する現実

国営朝鮮中央テレビが2024年1月に放送した特集番組「世界と競争せよ」で、プルンハヌル電子製品工場の成果が紹介されました。同工場は小規模ながら短期間で成果を上げ、独自の階級制度による人材育成が特徴とされています。番組内では、情報システムの国産化に成功したと誇らしげに宣伝していました。しかし、会議風景で映し出された職員のパソコン画面には、紛れもなく「MS Excel」のアイコンが表示されていたのです。

プルンハヌル電子製品工場の職員が使用しているパソコン画面プルンハヌル電子製品工場の職員が使用しているパソコン画面

米国は北朝鮮へのソフトウェア輸出を禁止しており、Windows OSも公式には供給されていません。このため、同工場で使用されているExcelは違法コピーである可能性が高いと見られています。

過去の事例と技術導入のジレンマ

これは初めての事例ではありません。2024年6月には、朝鮮労働党幹部育成機関である中央幹部学校のパソコンに、Windows 7とGoogle Chromeがインストールされているのが確認されました。サポートが終了した古いバージョンを使用している点も注目されます。

北朝鮮は2020年に「反動思想文化排撃法」を制定し、外国文化の流入を取り締まってきました。一方で、技術発展のためには一部の外部技術導入を黙認している可能性も指摘されています。

専門家の見解

ITセキュリティ専門家、佐藤一郎氏(仮名)は「北朝鮮は、国際的な制裁下で技術開発に苦労している。違法コピーソフトウェアの使用は、その困難さを示す一例と言えるだろう。しかし、サイバーセキュリティリスクも高まるため、注意が必要だ」と述べています。

技術自立への道のり

北朝鮮は技術的自立を強く訴える一方で、現実には海外ソフトウェアへの依存が続いているようです。真の技術力向上のためには、国際社会との協力や健全な技術交流が不可欠と言えるでしょう。