「2025年前半の市場は厳しい状況に直面する」とモルガン・スタンレーの株式ストラテジスト、マイク・ウィルソンは予測している。「今後3カ月間、S&P 500のリターンは低迷する可能性がある」とウィルソンは述べている。これは、トランプの貿易や移民政策から来るリスクが、経済成長の足かせとなる可能性があるためである。
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のトップ株式ストラテジストであるマイク・ウィルソン(Mike Wilson)は、2025年初めの株式市場について、マクロ経済の見通しにさまざまな問題が渦巻いているため、株価の大幅上昇が難しく、2025年前半に2024年の上昇を維持するには苦労するだろうと話している。
モルガン・スタンレーの最高投資責任者(CIO)であるウィルソンは、S&P 500種指数は、今後3カ月から6カ月間で5500〜6100の範囲で取引されるとの見方を示している。これはこの指数が今後数カ月で最大8%下落するか、1%強上昇する可能性を示唆している。
ウィルソンによると、この見通しの主な要因はトランプ政権の政策リスクにあるという。ウィルソンは、モルガン・スタンレーのポッドキャスト「市場の考察(Thoughts on the Market)」の最新回で次のように語っている。
「常に関税や移民取り締まりは議論されていた。どちらも短期的には成長を抑制する要因となるだろう。投資家はドナルド・トランプ(Donald Trump)の政策による市場への影響を考慮せず、深刻なリスクとして認識していなかったが、今になって現実と向き合っている」
投資家たちは、トランプの政策によって経済成長が加速すると期待している。例えば、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の予測によると、大統領の減税計画は今後2年間でS&P 500の利益成長率を押し上げる可能性があると考えられている。
しかし、これらの政策が市場にポジティブな影響を与えるには時間がかかるとウィルソンは指摘している。
「これも、2025年前半の株式市場が厳しくなると予想していた理由と一致する。なぜなら、短期的に株価にマイナスの影響を与える(関税や移民取り締まりなどの)政策は即座に実施されるが、規制緩和や税制延長、政府支出削減といった株価にプラスの影響を与える政策は、効果が現れるまでに時間がかかるからだ」
Jennifer Sor