トランプ米大統領は今年6月、再選出馬表明をフロリダ州で行い、10月末には居住地登録を生まれ育った東部ニューヨーク州からフロリダ州に移転したと発表した。いずれも来年11月の大統領選への布石であることに疑いの余地はない。
(フロリダ州マイアミ 黒瀬悦成、写真も)
米国を代表する国際観光都市マイアミ。この町の一等地にあるトランプ氏一族所有のゴルフリゾート施設「トランプ・ナショナル・ドラル・マイアミ」で10月中旬、熱心な草の根のトランプ支持者による政治集会が開かれた。
「AMPフェスト2019」と銘打たれた同集会は「言論の自由、米国文化と価値の擁護」をうたう保守系団体「アメリカン・プライオリティ」が主催。会場にはトランプ氏の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏を含む大統領と関係の深い著名人や、保守派に英雄視されている政治活動家らが次々と集結した。
地元選出の下院議員で「トランプ氏よりもトランプ的」と評されるマット・ゲーツ氏が「有権者の『声なき声』がトランプ氏を支持している。トランプ氏は必ず勝つ」と断言すると、数百人の聴衆から万雷の拍手がわき起こった。
女性のトランプ支持者の組織化に取り組む市民団体「ウィメン・フォー・トランプ」のエイミー・クレーマー代表は、トランプ氏がウクライナ疑惑で追及されていることに関し「私たちで力を合わせて弾劾圧力を押し返そう」と訴えた。
主催団体がフロリダ州を会場に選んだのは、同州が共和党と民主党の支持が拮抗(きっこう)し、大統領選のたびに勝利政党が変動する「スイング・ステート(激戦州)」であるためだ。
大統領選の本選は、両党の大統領候補が全米50州と首都ワシントンに割り当てられた計538人の大統領選挙人の過半数獲得を争う。同州は激戦州で最大の29人を抱え、「フロリダを制する者が大統領選を制する」と言われる。トランプ氏も2016年の前回選挙で同州を僅差で制した。