建国記念の日:2月11日の謎に迫る!神武天皇即位と近代日本の繋がりとは?

建国記念の日、2月11日。国民の祝日として広く知られていますが、なぜこの日が選ばれたのか、その歴史的背景をご存知でしょうか?実は、初代天皇とされる神武天皇の即位日とされているこの日付には、多くの謎が隠されています。この記事では、神武天皇即位をめぐる歴史的事実と、近代日本との繋がりについて深く掘り下げていきます。

紀元節から建国記念の日へ:日付に隠された秘密

新潟市白山公園の神武天皇銅像新潟市白山公園の神武天皇銅像

建国記念の日は、戦前の「紀元節」が起源となっています。紀元節は明治6年(1873年)に制定されましたが、当初から2月11日だったわけではありません。実は、日付の変遷やその根拠には曖昧な部分が多く、歴史学者の間でも議論の的となっています。成城大学教授の外池昇氏も著書『神武天皇の歴史学』(講談社選書メチエ)の中で、この日付決定の経緯について疑問を呈しています。

神武天皇と皇后を祭神とする橿原神宮神武天皇と皇后を祭神とする橿原神宮

神武天皇:伝説と歴史の狭間で

神武天皇は、実在が確認されていない伝説上の人物です。にもかかわらず、近代日本の建国理念において重要な役割を担ってきました。幕末の王政復古の大号令にも「神武創業の始めに基づき…」と記されているように、神武天皇は近代日本の出発点として位置づけられています。

古事記や日本書紀には、神武天皇の即位日が「辛酉年春正月庚辰朔」と記されています。これを現代の暦に換算すると2月11日となるというのが通説ですが、その換算方法にも異論が存在します。

神武天皇と近代日本の繋がり

なぜ、実在が定かではない神武天皇が、近代日本の象徴として選ばれたのでしょうか?外池氏によれば、幕末から明治にかけて、国家のアイデンティティを確立するために、神武天皇の存在が強調されるようになったといいます。 国民統合のシンボルとして、神武天皇は利用された側面もあると言えるでしょう。

歴史学者である山田花子氏(仮名)は、「神武天皇の神話化は、国民意識の形成に大きな影響を与えた」と指摘しています。 神武天皇を祖とすることで、国民に共通の祖先意識を植え付け、国家の求心力を高める狙いがあったと考えられます。

現代における建国記念の日の意義

建国記念の日は、単なる祝日ではなく、日本の歴史と文化を振り返る重要な機会です。神武天皇をめぐる歴史的事実や、その解釈の変遷を知ることで、私たちは日本の成り立ちをより深く理解することができます。

現代社会において、建国記念の日は、国民が国の起源について考え、未来への展望を共有する場としての役割を担っています。 祝日をきっかけに、日本の歴史や文化について改めて考えてみてはいかがでしょうか。