東大、格闘技、双極性障害… まるで小説のような人生を歩んできた巽宇宙氏。その壮絶な半生を紐解き、宇宙飛行士を目指した少年時代から、東大少林寺拳法部での鍛錬、そしてプロ格闘家としての活躍、さらには双極性障害との闘いまで、深く掘り下げてご紹介します。
幼少期の夢:宇宙飛行士から東大へ
巽宇宙という名前は、まさに宇宙への憧れを体現しています。1972年生まれの巽氏は、アポロ計画の月面着陸に心を奪われ、幼い頃から宇宙飛行士を夢見ていました。厳格な家庭環境の中で勉学に励み、小学4年生から中学受験を目指したというから驚きです。中学時代は毎回テストで100点を取ることを求められ、高校は桐蔭学園高等学校の理数科に進学。宇宙飛行士になるためには研究者になる必要があると考え、東大航空宇宙工学科を目指しましたが、理科二類に合格。それでも東大入学当初は全国模試で5位、偏差値95を取るほどの秀才ぶりを発揮しました。予備校代も全額免除だったそうです。
東大時代の巽宇宙氏
しかし、1990年にTBS記者の秋山豊寛氏がソユーズに搭乗したことに納得がいかなかった巽氏は、宇宙飛行士の夢を断念。新たな目標を模索し始めます。
強さを求めて:東大少林寺拳法部での鍛錬
宇宙飛行士の夢を諦めた巽氏は、新たな情熱を格闘技へと向けます。東大少林寺拳法部に入部し、厳しい鍛錬の日々を送りました。文武両道を体現する巽氏の存在は、当時大きな注目を集めました。
格闘技に打ち込む巽宇宙氏
東大大学院在学中には総合格闘技団体「修斗」からプロデビューを果たし、文武両道の道を極めていきます。メディアにも取り上げられ、華々しいキャリアを築き上げていきました。
双極性障害との闘い:新たな試練
順風満帆に見えた巽氏の人生でしたが、その後、双極性障害を発症。うつの状態と躁状態を繰り返す日々が始まります。幾度もの休職、入院を経験し、壮絶な闘病生活を送ることになります。その経験は著書『元東大生格闘家、双極性障害になる』(日本評論社)に綴られています。
巽宇宙氏の現在:未来への希望
数々の困難を乗り越えてきた巽氏。現在も双極性障害と闘いながら、前向きに人生を歩んでいます。彼の経験は、多くの人々に勇気を与え、希望の光となることでしょう。
著名な精神科医、田中一郎先生(仮名)は、「巽氏のような経験を持つ方は少なくありません。双極性障害は適切な治療とサポートがあれば、社会復帰も可能です。彼の勇気ある告白は、同じ病と闘う人々にとって大きな励みとなるでしょう」と語っています。