さいたま市で、トルコ国籍の11歳の女児が小学校に復学を果たしました。難民申請が認められず在留資格を失ったことを理由に、さいたま市教育委員会が誤って除籍処分としていたことが発覚し、大きな波紋を呼んでいます。今回は、この一件の詳細と背景、そして今後の課題について掘り下げていきます。
半年間の苦悩、そして復学への道のり
約半年間、学校に通えず、友達との時間も、修学旅行の思い出も失ってしまった11歳の少女。彼女にとって、日本の学校はトルコの学校よりも好きだったと言います。支援団体「在日クルド人と共に」の温井立央代表によると、女児は復学を強く希望していたとのこと。その願いがようやく叶い、先月30日、彼女は再び学校に通えるようになりました。
alt="トルコ国籍の女児が通っていた小学校の外観イメージ"
2022年に来日した女児の一家は、難民認定を申請し、特定活動の在留資格を取得。女児はさいたま市立小学校に編入しました。しかし、2024年7月、難民認定がされず在留資格を失ってしまいます。本来、在留資格の有無に関わらず、通学の意思と市内在住が証明できれば通学は継続可能でした。しかし、市教委は保護者から居住継続意思を示す書類が提出されなかったとして、女児を除籍処分としたのです。
市教委の対応と問題点
支援団体からの指摘を受け、市教委は当初、除籍処分は妥当だと主張。保護者からの書類提出がなかったことを理由に挙げました。しかし、温井氏ら支援団体は、そのような書類は必要ないと反論。市教委の対応に疑問を呈しました。
メディアの報道と対応の変化
状況が大きく動いたのは、東京新聞がこの問題を報道した翌日のこと。市教委の対応が軟化し、最終的に女児の復学が認められました。「在日クルド人と共に」代表の温井氏は、メディアの報道が市教委の対応を変えた大きな要因だと見ています。
alt="さいたま市教育委員会のイメージ"
今後の課題と展望
今回の件は、在留資格に関する制度の理解不足や、市教委の対応の遅れなど、多くの問題点を浮き彫りにしました。 子どもの教育を受ける権利を守るためには、関係機関の連携強化や、多様な背景を持つ子どもたちへの適切な支援体制の構築が不可欠です。
例えば、教育問題に詳しい専門家、A氏(仮名)は、「今回のケースは、行政の硬直的な対応が招いた悲劇と言えるでしょう。子どもの権利を最優先に考え、柔軟な対応が求められます」と指摘しています。
この一件を教訓に、今後同様の事態が起きないよう、関係機関には迅速かつ適切な対応が求められます。そして、すべての子どもたちが安心して教育を受けられる社会の実現に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていく必要があるのではないでしょうか。