マット・ガイ氏は2023年に日本に移り住み、スキー場のある町で伝統的な家屋を6000ドル(100万円弱)で買った。1960年代に建てられたその2階建ての家で、パートナーとともに暮らしている。ガイ氏は、安いから、あるいは流行しているからという理由だけで、日本で家を買うのはやめたほうがいいと指摘する。
マット・ガイ氏は2010年に、6週間の旅行として初めて日本を訪れた。6週間の半分はスノーボードをして楽しみ、残りの半分は日本各地を観光した。
【全画像をみる】日本のスキーハウスを約100万円で買った男性は、「安いから」という理由で日本の家を買うべきではないと忠告する
オーストラリア出身のガイ氏は、それまでにもすでに30の国を旅し、いくつかの土地で暮らした経験もあったが、日本には強く好奇心をそそられた。
「この国のフィーリングは特別だった」と、ガイ氏(40歳)はBusiness Insiderに語る。
日本をもっと深く知りたい、理解したいと思うようになり、2014年に日本に渡り、1年間の日本語コースを受講した。
そのころから、日本への移住を考えるようになった。2016年、ガイ氏は再度日本を訪れ、英語教師として働いて暮らしたが、また世界を見てみたいという思いが強くなったため、2年後に国を去った。
そして2023年、彼はふたたび日本に戻った──今回は永住するつもりだ。
「ただの気まぐれで日本に移住しようと決めたわけではない。知識と経験を集め、自分が深く愛するようになった土地への敬意をもって、ここへやってきた」
日本での家探し
建築の経験をもつガイ氏は、初めに永住できる土地、自分の家と呼べる場所を探した。
過去数年をかけて日本の物件情報を頼りに、ここなら住んでもいいと思える地域で、家探しをした。
「日本の外にいたときでさえ探し続けた」と、ガイ氏は言う。「あるだけの時間を費やして、自分にとって最高の条件を突き止め、それに見合う物件のチェックリストをつくることに専念した」
ハイキング、バックカントリースキー、スノーボードなどといったアウトドア活動を好むガイ氏は、スキーができる土地で暮らすことがずっと夢だった。
幸運にも、新潟県にあり、スキー場として人気の妙高高原の近くでスキーロッジを所有している友人が、夏にロッジで過ごすよう招待してくれた。
そして、夏が終わるころ、ガイ氏は新しい故郷を見つけた。
「ここに来たときは何かを買うつもりなどなかったのだが、たまたまタイミングよく、この家が売りに出された」と同氏は語る。
妙高高原地域の不動産を調べていたとき、偶然その物件をネットで見つけたのだ。
1960年代に建てられた伝統的な2階建ての家で、80代の老夫婦が熱心にその家を案内してくれた。
「オーナーは『さあ、入って、入って、この家のいいところを教えてあげるから。夏はこの窓とあの窓を開けると、風が通り抜けるんだ。この窓は日差しが最高』といった感じだった」と、ガイ氏は前オーナーの様子を回想する。「信じがたい体験だった」
ガイ氏はその家を100万円弱、ドルに換算しておよそ6000ドルで買った。
「私は高地にあるスキーのできる場所で暮らしたいと願っていた。スキーリフトのある場所で」とガイ氏は言う。「だが、山で過ごすうちに、人気のスキー場から離れた少し低い場所でなら、たくさんのお金を節約しながら、多くのメリットが得られることに気づいた」
たとえば、彼の選んだ場所では、それほど激しく雪が降ることはない。
「山の上で暮らす人々とは違って、ここでは雪かきをする必要がない」と彼は言う。「虫も少ないし、家の壁を台無しにするキツツキも少ない。クマも出ない」