脂肪肝を甘く見てはいけない!静かに進行する肝硬変のリスクと予防策

脂肪肝と診断されても、あまり深刻に考えていない方も多いのではないでしょうか?しかし、実は脂肪肝は肝硬変への入り口であることを忘れてはいけません。今回は、脂肪肝から肝硬変への進行プロセスと、その恐ろしさ、そして予防策について詳しく解説します。

脂肪肝とは? 肝硬変への危険な一歩

健康診断で「脂肪肝」と指摘されても、軽く考えている方は要注意です。肝臓専門医の尾形哲先生(仮名)は、著書『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の中で、脂肪肝は肝硬変の予備軍であると警鐘を鳴らしています。

脂肪肝のイメージ脂肪肝のイメージ

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため、脂肪肝を放置してしまうと、気づかないうちに脂肪肝炎、そして肝硬変へと進行してしまう危険性があります。黄疸やむくみなどの症状が現れた時には、すでに肝硬変がかなり進行しているケースも少なくありません。

脂肪肝から肝硬変への進行プロセス

肝硬変とは、肝臓の細胞が破壊され、線維化が進行することで、肝臓全体が硬く変質し、機能しなくなる病気です。この恐ろしい病気への道は、脂肪肝から始まります。

肝細胞に脂肪が蓄積すると、約10~20%の人に脂肪肝炎が発生します。そして、一度炎症が始まると線維化のスピードが加速し、5~10年の間に肝硬変へと進行すると言われています。

つまり、「脂肪肝 → 脂肪肝炎 → 肝硬変」という流れで病状が悪化していくのです。脂肪肝の状態はまだ「黄色信号」ですが、脂肪肝炎になると「赤信号」。一刻も早い対策が必要です。

脂肪肝炎の早期発見が肝心

脂肪肝炎は自覚症状が少ないため、定期的な健康診断や検査が重要です。血液検査や腹部超音波検査などで脂肪肝の有無や程度を確認することができます。

食生活の改善や適度な運動など、生活習慣の見直しも大切です。特に、糖分の過剰摂取は脂肪肝のリスクを高めるため、甘い飲み物やお菓子の摂り過ぎには注意が必要です。

肝硬変を予防するために

肝硬変は進行すると、肝不全や肝がんのリスクも高まります。肝硬変を予防するためには、脂肪肝の段階で適切な対策を講じることが重要です。

バランスの良い食事と適度な運動

バランスの良い食事を心がけ、野菜、果物、魚、海藻などを積極的に摂りましょう。また、適度な運動は肝臓の健康維持に効果的です。ウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。

定期的な健康診断

肝臓は症状が出にくい臓器なので、定期的な健康診断で早期発見に努めましょう。特に、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病がある方は、脂肪肝のリスクが高いので注意が必要です。

専門医への相談

脂肪肝と診断されたら、自己判断で治療せずに、専門医に相談しましょう。適切な指導を受けることで、肝硬変への進行を予防することができます。

肝臓は私たちの健康にとって非常に重要な臓器です。脂肪肝を甘く見ずに、日頃から肝臓を労わる生活を心がけましょう。