文春の記事訂正で露呈したマスメディアのふがいなさ 田原総一朗「ジャーナリズムは喧嘩するから面白い」


【写真】中居問題への発言で評価を下げた元フジテレビアナウンサー

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そのときは「また文春砲だ」「やはり文春か」と誰もが思っただろう。しかし今、「ファクト(事実)はどこにあるのか?」と構え直している。昨年末に報じられた元SMAPの中居正広氏の女性トラブルについてだ。

 発端は12月19日発売の「女性セブン」によるスクープだったが、その翌週に「週刊文春」(12月26日発売号)が「スキャンダルの全貌」と題し、トラブルの内容が女性に対する性加害だとする記事を掲載した。そこではフジテレビ社員の関与も報じられており、中居氏のみならずフジテレビへも強烈な批判が押し寄せた。

 文春が報じたから事実なのだろう──。そう思わせるほどに「週刊文春」は絶対的な影響力を持っている。これまで政治家や俳優、スポーツ選手など幾度となくスキャンダルを暴き、いつしかそのスクープは“文春砲”と呼ばれるようになった。多くの読者をつかみ、SNS上のトレンドを独り占めした。ひとたび「週刊文春」が不祥事やスキャンダルを報じれば、大げさに言えばそれが正義となり世論となった。

 フジテレビは「週刊文春」の当該号発売の翌日にホームページ上で「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」と否定。年が明けた1月17日の会見、“やり直し”となった27日の会見でも一貫して社員の関与を否定した。それでも「週刊文春」の“パワー”は凄まじく、フジテレビ社員がトラブル当日に女性を呼び出したのだと思った人も多いだろう。

■会見の翌日に「訂正」

 その間に中居氏が出演する民放各社のテレビ番組が放送休止になり、フジテレビのスポンサー企業は次々と撤退。減収は数百億円とも言われる。23日には中居氏が芸能界からの引退を表明した。

 27日のフジテレビの会見には400人超の報道陣が詰めかけ、社員の関与について、中居氏と女性の間での「認識の違い」についてなど10時間以上にわたって追及が続いた。

 しかし、だ。

「週刊文春」は会見の翌日に訂正を出す。当初の記事では、トラブルがあった当日の会食について、「女性はフジテレビ幹部に誘われた」「大人数での食事のはずが、直前になって女性と中居氏を除く全員がキャンセルし、二人にさせられた」としていたが、その後の取材で「女性は中居氏に誘われた」「幹部がセッティングしている会の“延長”と認識していたことが分かった」として訂正したのだ。「週刊文春」は女性の証言をもとに「幹部が件のトラブルに関与していた事実は変わらないと考えています」と主張している。



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