昨年11月からキャベツの高騰が止まらない。そんな中で、昨年12月に茨城県内の畑で合わせて2000個以上のキャベツの盗難事件が発生した。それらの犯人は捕まっていない中で、同じく昨年12月に茨城県下妻市の畑からキャベツを盗み、窃盗の疑いで現行犯逮捕された中国籍の2人組の男が1月24日に不起訴処分となった。現行犯逮捕にもかかわらずなぜ不起訴に? この処分にキャベツ農家たちからは怒りの声が上がった。
気候変動に加えて、泥棒まで来たらかなわない…
キャベツの平均価格は去年11月以降、平年の2倍以上の高値が続いている。
農林水産省によると去年夏の高温に加え、昨年12月の急激な気温低下で雨も少なかったことなどから、十分な大きさに育たないものが多かった影響だという。
一時期はキャベツ1個1000円にまで値上がり、昨年12月の盗難被害はそんな最中に起きた。
地元新聞記者は言う。
「1月24日に不起訴処分となった中国籍2人組の男たちは、昼間にトラックで下妻市内の畑を物色していたようです。そこで8個のキャベツの盗難をしたようですが、おそらくその時は下見だったのでは、と囁かれています。
近隣住民からの通報で現行犯逮捕となりましたが、本人らは“ゴミみたいなのは奪ったけど、こんなの泥棒にならない”と容疑を否認している中での不起訴でした」
この処分を受けて、昨年12月におよそ840個のキャベツを盗まれた茨城県結城市田間の岩崎義徳さん(50歳)は言う。
「私の畑からは昨年12月18日夕方に840個ものキャベツがごそっと盗まれていることに気づき、翌日に結城警察署に被害届を出しました。約70万円ほどの損害を被りました。
だいたい野菜泥棒は早朝か深夜に5、6人のグループで畑にトラックを横付けして、包丁で切る奴、それをトラックに投げ入れる奴、車内で待つ奴と分担してやるはずなので、下妻の泥棒は下見の最中だったんじゃねえの。正直、もっと余罪を追及してほしいと思いました」
岩崎さんに窃盗被害の捜査状況について聞くと、「被害届を出しに行った当日に現場で(警察と)話をして以降、何の連絡もない」と言う。
「正直、私らからしたら、今回の被害は闇バイトの強盗犯に貯金70万盗まれたのと同じようなものなんですよ。警察も検事も強盗なら躍起になって動いてくれるかもしれないけど、野菜泥棒はそこまで本気を出してくれない。なんだかなという感じがしてしまう」
同じく野菜泥棒の被害にあったという他の茨城県内の農家さんも、「近年の気候変動は農家を苦しめる一方で、そこにきて泥棒まで現れたらかなわない。警察も検事も、もっと野菜泥棒に対し真剣に取り組んでほしい」と語った。
だがその一方で「警察は当てにしていない」と言う農家もいる。