台湾周辺空域への中国軍機侵入、頼清徳政権発足後2.1倍に急増!国防部発表データが示す中国の威圧強化

台湾周辺の空域における中国軍機の活動が活発化している。読売新聞が台湾国防部の発表資料を分析した結果、頼清徳政権発足後の中国軍機の侵入は、蔡英文前政権時代と比較して1日平均で約2.1倍に急増していることが明らかになった。このデータは、中国が頼清徳総統に対して軍事的な威圧を強めている実態を如実に示していると言えるだろう。

頼清徳政権発足後の中国軍機侵入、前政権比2.1倍に

台湾国防部は、2022年8月6日以降、台湾周辺で確認された中国軍機と艦船の数を毎日発表している。読売新聞は、このデータを基に蔡英文前政権時代と頼清徳政権時代の中国軍機の活動状況を比較分析した。

その結果、台湾海峡の中間線を越えたり、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したりした中国軍機の数は、蔡政権時代(2022年8月6日以降)の1日平均5.0機から、頼清徳政権時代には10.6機と倍増していることが判明した。

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中国軍機、台湾近海での飛行を増強

台湾周辺のより広いエリアで確認された中国軍機の数は、1日平均13.6機から15.5機へと微増している。このことから、中国軍が台湾に近い空域での飛行を増強していることが伺える。

中国艦船の活動も活発化、海警局の船も頻繁に出現

中国軍機だけでなく、中国艦船の活動も活発化している。台湾海峡など近海で確認される中国艦船数は、蔡政権時代の1日平均5.2隻から、頼清徳政権時代には8.1隻と約1.6倍に増加した。特に、頼清徳政権発足後は、「第2の海軍」と呼ばれる中国海警局の船も頻繁に確認されるようになっている。

頼総統の演説後、台湾包囲演習を実施

2024年5月と10月に頼清徳総統が中国に触れた演説を行った後、中国軍は台湾を包囲する形で軍事演習を実施した。この演習では多数の航空機や艦船が動員され、データにもその様子が明確に表れている。最近では、台湾の東側や南側での中国軍の活動が目立っている。台湾国防部は、読売新聞の取材に対し、中国の行動は「外国に対して台湾海峡の『内海化』を誇示し、台湾をどう喝する意図がある」と分析している。

中国、頼総統を「台湾独立工作者」として敵視

中国の習近平政権は、中台関係の現状維持を掲げた蔡英文前総統と比較して、行政院長(首相)時代に自らを「実務的な台湾独立工作者」と称した頼清徳総統を特に敵視している。

中間線とは?

中間線は、1954年に米国と台湾の間で締結された「米華相互防衛条約」(その後失効)に基づき、米軍が台湾海峡に設定した事実上の境界線である。しかし、台湾を自国領土の一部と主張する中国は、中間線の存在を否定している。

台湾周辺における中国の軍事活動の活発化は、東アジア地域の安全保障にとって重大な懸念材料となっている。今後の中国の動向に、引き続き注意が必要だ。