2024年度の国の一般会計の税収が、75兆円台前半となる見通しが30日示された。これは2023年度(約72兆761億円)を上回り、5年連続での過去最高更新となる見込みだ。物価高に伴う消費税収の伸びや、企業業績の好調による法人税収の増加が主な要因とみられる。
税収過去最高更新の背景と今後の見通し
税収実績の集計対象は、主に3月期決算企業からの法人税納付などが含まれる5月分までとなっている。財務省は、この税収実績などを取りまとめた決算見込みを週内にも正式に発表する予定だ。
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今回の見通しは、昨年11月に補正予算が編成された時点で見込まれていた73兆4350億円から、約1.8兆円の上振れが生じている計算になる。経済活動の回復や物価動向が税収に与える影響が改めて浮き彫りとなった形だ。
税収増加の主な要因
今回の税収増加の背景には、主に二つの大きな要因がある。
消費税収の伸び
消費税は、原油価格や原材料費の高騰に伴う製品・サービスの価格転嫁が進んだことに加え、近年の賃上げなどを背景とした個人消費の堅調さが寄与し、税収が大きく増加した。物価の上昇が税収を押し上げた側面が大きい。
法人税収の好調
多くの企業が2025年3月期決算で過去最高益を記録するなど、好業績が相次いだことも法人税収を押し上げた。SMBC日興証券の分析によると、東京証券取引所に上場する企業の中でも、電機や小売り・サービスといった業種が特に最終利益を伸ばしており、これが国全体の法人税収増加に貢献したとみられる。
23年度実績とその使途
参考として、2023年7月に公表された2023年度の税収実績では、当初見込みから2.5兆円弱の大幅な上振れがあった。この税収の剰余金は、主に赤字国債の発行抑制、国債の償還、防衛費増額の安定的な財源確保などに充当された経緯がある。2024年度の税収上振れ分についても、今後の財政運営において同様の活用が検討される可能性がある。
結論
物価上昇による消費税収の増加と、企業収益の改善を背景とした法人税収の好調が牽引し、日本の2024年度の国の税収は5年連続で過去最高水準を更新する見込みとなった。財務省による正式な決算見込みの発表が待たれるとともに、この税収増が今後の国の財政や政策にどう影響するかが注目される。
出典
- Yahoo!ニュース (via 読売新聞)