ファミリーマートが一部店舗で掲示した、キャッシュレス決済の手数料負担が大きいとして現金や自社サービス「ファミペイ」での支払いを推奨するポップが、SNS上で大きな注目を集めている。この動きは、キャッシュレス決済の普及が進む一方で店舗側が直面する課題を浮き彫りにし、様々な議論を呼んでいる。
店舗が訴える手数料負担の現実
話題となったポップは、店主から顧客への「お願い」として、「キャッシュレス決済は店舗手数料負担が極めて大きくなっております。現金・ファミペイでの決済をお願いできれば幸いです」と書かれていた。一般的なキャッシュレス決済の手数料は売上の2〜3%程度とされるが、売上からこの手数料が差し引かれることは、特に厳しい経済状況の中で店舗経営を圧迫する要因となり得る。ポップには2025年3月18日から2026年3月17日までの掲示期間も明記されており、長期にわたる課題であることが示唆されている。
日本のどこかにあるファミリーマートの店舗外観:キャッシュレス決済問題の背景
このポップについて言及した投稿者である鈴木貴久彦氏は、ファミリーマートの細見社長が以前からキャッシュレス手数料負担の大きさを課題として認識していることを把握していた。そのため、自社決済サービスであるファミペイの推進自体は理解できるとしつつも、キャッシュレス推進の一翼を担ってきたはずのコンビニエンスストアという業態が「現金」の利用を推奨するという内容には率直に驚いたと感想を述べている。
SNSでの反響と多様な意見
この件に関する投稿には想像以上に多くの意見が寄せられ、鈴木氏は反響の大きさに驚きを示した。「店主からのお願い」という形式を含め、掲示内容に対する違和感や疑問の声が多く見られたという。特に、企業努力で吸収すべき負担を利用者に転嫁することへの批判的な意見が目立ったほか、普段からファミリーマートでキャッシュレス決済を利用している層からは「そうは言われても、自分の好きな決済手段を使い続ける」といった声が多数を占めたようだ。
SNSユーザーからは、キャッシュレス決済の手数料が3.5%から5%近くに達することもある現状への理解を示す声がある一方で、「キャッシュレスは今や世界中で一般的だが、大手ですら重荷に感じるのは日本の稼ぐ力が減少している証拠」「これを拒むとその結果サービスはますます悪くなる悪循環」といった、より広範な経済状況やサービス低下への懸念を示す意見も見られた。
さらに、ファミリーマートに対する手厳しい指摘も多く寄せられた。「手数料は店舗ではなく本部が負担すべき」「ロピアのように安さを売りにするならともかく、価格を上乗せできるコンビニでこれは印象が悪い」といった本部への要望や、ファミペイ自体の利便性に関する問題点として「ATM入金ができない」「一部店舗では利用できないと書いてあるのに、これを貼って使えないと言われたら困る」といった具体的な不満も目立った。
課題解決への道のり
今回のポップ掲示の背景や具体的な成果について、株式会社ファミリーマートに質問状を送付したが、記事執筆時点での回答は得られなかった。この一件は、利便性を追求するキャッシュレス決済の普及と、経済的負担に苦慮する現場の店舗との間に横たわる課題を浮き彫りにしている。読者のみなさんは、キャッシュレス決済の未来や、今回のファミリーマートの対応についてどのように考えるだろうか。