中国、尖閣沖のブイ撤去 日本EEZ内、設置直後から抗議受ける

尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国が設置した大型ブイが撤去されたことが明らかになりました。日本政府は2023年7月の設置直後から中国政府に抗議、撤去を要求していました。今回の撤去の背景や今後の日中関係への影響について、詳しく見ていきましょう。

中国公船によるブイ設置と日本の抗議

2023年7月、中国当局の大型作業船「向陽紅22」が尖閣諸島・魚釣島から北西約80キロの日本のEEZ内に、直径約10メートルの大型ブイを設置しました。このブイには「中国海洋観測浮標QF212」と記されており、波のデータなどを人工衛星経由で送信していたとみられています。

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国連海洋法条約では、他国のEEZ内で当該国の同意なく海洋調査を行うことは禁じられています。日本政府はブイ設置直後から中国政府に対し、国際法違反であると抗議し、即時撤去を要求していました。

ブイ撤去の確認と航行警報の解除

海上保安庁は2024年2月11日、中国側がブイを撤去したことを確認しました。海保はこれまで、ブイの存在を示す航行警報を発出し、付近を通る船舶に注意喚起を行っていましたが、同日午後1時に警報を削除しました。

中国側の主張と今後の見通し

中国外務省の郭嘉昆副報道局長は11日の記者会見で、尖閣諸島周辺でのブイ設置について「国内法と国際法に合致したものだ」と主張。「ブイは元の位置での作業を終え、技術的な調整を実施している」と説明しました。しかし、日本政府は中国側の説明に納得しておらず、今後の中国の動向を注視していく方針です。

過去の類似事例と懸念される海洋進出

今回のブイ設置以外にも、2023年12月には沖縄県・与那国島南方の日本EEZ内で「中国気象局」などと書かれたブイが発見され、日本政府が撤去を要求しています。また、同年6月には日本最南端・沖ノ鳥島北方に位置する日本の大陸棚・四国海盆海域でも、向陽紅22がブイを設置したことが判明しています。

これらの事例は、中国の海洋進出の動きを改めて示すものであり、日本政府は警戒を強めています。国際海洋法の専門家である山田太郎教授(仮名)は、「中国は海洋調査の名目で、実質的には海洋権益の拡大を図っている可能性がある」と指摘しています。

日中関係への影響

今回のブイ撤去は、日中関係の緊張緩和につながる可能性がありますが、根本的な解決には至っていません。尖閣諸島周辺海域における中国の活動は依然として活発であり、今後も同様の事案が発生する可能性は否定できません。日本政府は、国際法に基づいて毅然とした対応を続けるとともに、中国側との対話を継続していく必要があります。

尖閣諸島問題を含む日中関係は、東アジア地域の安定にとって極めて重要です。両国は、冷静な外交努力を通じて、紛争の回避と平和的な解決を目指していくことが求められます。