テニスの全米オープンで、選手がファンである少年に手渡した記念の帽子を、隣にいた大人の男性が横取りする衝撃的な場面がカメラに捉えられ、世界中で大きな物議を醸しています。この不適切な行為は、SNSを中心に瞬く間に拡散され、多くの人々の怒りと批判を集めています。スポーツマンシップと観客のマナーが問われる中、当事者である選手も事態を憂慮し、少年を探す協力を呼びかける異例の事態に発展しています。
試合中の出来事:期待から失望へ
この出来事は、8月28日(現地時間)にニューヨークのUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで行われた男子シングルス2回戦で発生しました。ポーランドのスターテニス選手、カミル・マイクシャク選手(29歳)は、ロシアのカレン・カチャノフ選手との試合で完勝を収めました。試合後、マイクシャク選手は観客席に近づき、ファンとの交流を楽しんでいました。サインに応じ、そして自身の被っていた帽子を、特に喜んでいた一人の少年に手渡しました。
ところが、この感動的な瞬間に、少年の隣に座っていた男性がまさかの行動に出ます。男性は、マイクシャク選手から少年へ渡されたばかりの帽子を少年の手から強引に奪い取り、平然と自身の妻のバッグに入れてしまったのです。この一部始終は、生中継のカメラにしっかりと記録されていました。帽子を奪われた少年は「何をするんだ」と抗議の声を上げましたが、男性はそれを全く気にする様子もなく、自分のペットボトルをマイクシャク選手に差し出し、サインを求めていました。この信じられない光景は、すぐに世界中の視聴者の目に触れることとなりました。
全米オープンで選手から少年に贈られた帽子を大人男性が横取りする瞬間
SNSで広がる非難と選手の呼びかけ
このシーンが放送されるや否や、インターネット上では瞬く間に動画が拡散され、世界中から非難の声が殺到しました。特にインターネットコミュニティーサイトでは、「子どもへのプレゼントを強奪するような大人は、スポーツ観戦の入場を禁止すべき」「大人であれば、むしろ子どもに記念品を譲るのが常識だ」「全米オープンへの永久入場禁止処分を科すべきだ」といった、怒りと失望に満ちたコメントが相次ぎました。スポーツイベントにおけるマナー違反、特に子どもを巻き込んだ不適切な行為に対し、強い批判が向けられたのです。
この騒動を後から知ったマイクシャク選手自身も、非常に心を痛めました。自身のインスタグラムで「帽子がその少年に届かなかったことを知らなかった」とコメントし、「少年を探し出せるよう助けてほしい」と呼びかけ、帽子を奪われた少年の写真をシェアしました。選手によるこの異例の行動は、さらに事態への関心を高めました。
強奪男性の身元特定と高まる世論の批判
ネットユーザーたちは、帽子を強奪した男性の身元特定に乗り出しました。その結果、この男性がポーランドで歩道ブロックの会社を経営する最高経営者(CEO)であることが判明しました。身元特定の過程で、男性だけでなく家族の個人情報の一部までがインターネット上で拡散されるという事態に発展しました。
男性の身元が明らかになると、ネット上での批判はさらに激化しました。「大きな会社を運営する人間が、子どもの帽子を奪うなんて、あまりにも図々しい」「CEOという立場であっても、この行為の責任を取るべきだ」「即座に少年とマイクシャク選手に謝罪し、帽子を返すべきだ」といった厳しい意見が相次ぎ、社会的地位のある人物による不適切な行為が、いかに世論の反発を招くかが浮き彫りになりました。
この一件は、スポーツイベントにおける観客のマナーの重要性、そしてSNSが持つ情報拡散力と世論形成の影響力を改めて示す事例となりました。
参考文献:
- 米紙ニューヨーク・ポスト
- 朝鮮日報日本語版 (https://news.yahoo.co.jp/articles/1497f4741823b88fdef9f1b964edd7f9e33383c5)