ハンガリー日本人女性殺害事件:警察の対応不足で謝罪と懲戒処分、DV対策強化へ

ブダペストで発生した日本人女性殺害事件を受け、ハンガリー警察は対応の不備を認め謝罪、担当者を懲戒処分とした。事件の背景、警察の対応、そして今後の対策について詳しく解説する。

ブダペストで起きた悲劇:日本人女性の死と元夫の逮捕

先月29日、ハンガリーの首都ブダペストにあるアパートで火災が発生し、日本人女性(43)が遺体で発見された。当初、警察は失火と判断したが、捜査の結果、アイルランド国籍の元夫(43)が逮捕され、計画殺人の罪で訴追された。

火災現場火災現場

見過ごされたSOS:2度の相談も対応されず

事件後、被害女性が生前、元夫からの脅迫や盗難被害について2度にわたり警察に相談していたことが明らかになった。しかし、警察は適切な対応を取らなかった。この対応不足が批判を招き、警察の責任が問われる事態となっている。

ハンガリー警察の謝罪と懲戒処分:DV対策強化の表明

今月11日、ハンガリー国家警察本部とブダペスト警察本部は共同で記者会見を開き、「私たちは間違いを犯した」と公式に謝罪した。被害女性が相談した警察署の担当者6人は配置転換などの懲戒処分を受けた。さらに、DV(ドメスティック・バイオレンス)に関する研修を受ける警察官を増やすなど、再発防止策を強化することを明らかにした。

記者会見の様子記者会見の様子

高まる批判の声と市民の抗議活動:DV被害者保護の必要性

警察の対応不足に対する批判は国内外で高まっており、8日には警察署前などで抗議デモが行われた。事件をきっかけに、ハンガリーにおけるDV被害者保護の体制強化を求める声が強まっている。「今回の事件は、DV被害者への迅速かつ適切な対応の必要性を改めて示すものだ」と、DV問題に詳しいブダペスト大学の社会学教授、ヤーノシュ・キシュ氏は指摘する。

今後の課題:再発防止とDV対策の徹底

今回の事件は、ハンガリー社会におけるDV問題の深刻さを浮き彫りにした。警察の対応改善だけでなく、DV被害者支援団体との連携強化、相談窓口の拡充、加害者への適切な介入など、多角的な対策が求められる。

ハンガリー警察は再発防止に全力を挙げるとしているが、真の意味での対策強化には、社会全体でDV問題への意識を高め、被害者を孤立させない環境づくりが不可欠となるだろう。