ブダペストで起きた日本人女性殺害事件は、DV被害の深刻さと支援体制の課題を浮き彫りにしました。元夫による殺人の疑いで逮捕されたこの事件は、被害女性が生前、DV被害について日本大使館に相談していたことが明らかになり、波紋を広げています。
繰り返されるDV、警察の対応に批判の声
被害女性の弁護士によると、女性は昨年、元夫から「苦しみながら死ぬだろう」という脅迫めいた手紙を受け取り、警察に相談したものの、まともに取り合ってもらえなかったといいます。「ハンガリーでは犯罪にならない」と、警察は冷淡な対応を取ったとされ、ハンガリー国内では警察への批判が高まり、デモ活動も行われています。
ハンガリーの街並み
子どものパスポートを人質に、帰国叶わず
被害女性はDVから逃れるため、子どもと共に日本への帰国を希望していました。しかし、元夫が子どものパスポートを取り上げていたため、帰国は叶いませんでした。絶望的な状況の中、女性は日本大使館にDV被害とパスポート問題について、少なくとも2回相談していたことが分かっています。
パスポートのイメージ
大使館側は、子どもの連れ去り防止の観点から、パスポートの発行には共同親権者である元夫の同意が必要だと説明したとされています。この対応について、被害女性の弁護士は「大使館の対応は不適切で、DV被害者への対応を改めるべきだ」と厳しく批判しています。国際家族法専門家の佐々木美香氏(仮名)も、「DV被害者の安全確保を最優先に考え、柔軟な対応が必要だった」と指摘しています。
DV被害者支援のあり方、改めて問われる
今回の事件は、DV被害者に対する支援体制の不備を改めて浮き彫りにしました。警察の対応の遅れ、大使館の杓子定規な対応、そして結果として防ぐことのできなかった悲劇。DV被害者の声に真摯に耳を傾け、迅速かつ適切な支援を行うことの重要性が改めて問われています。
日本大使館の役割と責任
海外でDV被害に遭った場合、日本大使館はどのような役割を果たすべきなのでしょうか。今回の事件を教訓に、DV被害者へのより積極的な支援策、関係機関との連携強化、そして職員へのDVに関する研修の充実などが求められます。
大使館のイメージ
DVは犯罪、相談窓口を知って
DVは決して許されるものではありません。もしあなたが、あるいはあなたの周りの誰かがDVに苦しんでいるなら、一人で抱え込まず、相談窓口に連絡してください。様々な支援団体や機関が、あなたの力になってくれます。
この事件が、DV被害者支援のさらなる改善につながることを願います。