日本の子育て世帯、特に乳幼児を持つ家庭の経済的な苦境が深刻化しています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の最新調査によると、経済的な理由でおむつや粉ミルクを購入できない家庭が少なくないことが明らかになりました。本記事では、その実態と支援の必要性について詳しく解説します。
経済的困難と子育て:SCJの調査結果
SCJは、世界中で子ども支援活動を行う国際NGOの日本組織です。2010年から子どもの貧困問題解決事業に取り組んでおり、「子どもの食 応援ボックス」や「ハロー! ベビーボックス」など、様々な支援活動を実施しています。
2024年夏、SCJは全国の支援事業利用世帯のうち、3歳以下の乳幼児がおり経済的に困難な状況にある約500世帯を対象にアンケート調査を実施。非課税世帯や児童扶養手当受給世帯などが含まれています。その結果、厳しい現実が浮き彫りになりました。
alt=セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの記者会見の様子
おむつや粉ミルクも買えない現実
調査によると、経済的な理由で紙おむつを購入できなかった経験があると回答した世帯は約49%に上りました。そのうち約75%は、おむつを替える回数を減らすといった対応を迫られています。
また、約40%の世帯が粉ミルクを購入できない経験があると回答。約41%が粉ミルクを薄めて子どもに飲ませ、約28%が粉ミルクの量を減らし、約27%が粉ミルクを与える回数を減らすといった対応を取っていました。
これらの数字は、子育てに不可欠な必需品さえも入手困難な家庭が多数存在することを示しています。乳幼児の健康や発育への影響が懸念される深刻な状況です。
切実に求められる支援
調査では、希望する支援についても質問しました。「定期的な紙おむつやおしりふき、離乳食など赤ちゃんに必要な消耗品の受け取り」という回答が約87%と最も多く、子育て世帯の切実なニーズが浮き彫りになりました。
SCJ国内事業部の川上園子部長は、「赤ちゃんの健康や衛生、発育などに深刻な悪影響がある」と警鐘を鳴らしています。乳幼児期の適切な栄養摂取や衛生管理は、健やかな成長に不可欠です。経済的な困難によってそれが阻害されることは、子どもの将来にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
例えば、栄養不足は免疫力の低下や発育の遅れにつながる可能性があります。また、不衛生な環境は感染症のリスクを高めます。これらの問題は、子どもの健康だけでなく、教育や社会参加の機会にも影響を及ぼす可能性があります。「子どもの貧困は、世代間連鎖を引き起こす可能性がある」と、児童福祉の専門家である山田太郎氏(仮名)は指摘しています。
まとめ:未来への投資としての支援
子育て世帯の経済的支援は、単なる福祉政策ではなく、未来への投資です。子どもたちが健やかに成長できる環境を整備することは、社会全体の持続可能性を高めることにつながります。行政、企業、そして私たち一人ひとりが、子育て世帯の現状を理解し、必要な支援を提供していくことが重要です。