海上自衛隊は、フィリピン東方沖の太平洋上で、アメリカ、フランス両海軍と3カ国による共同訓練「パシフィック・ステラー」を実施しました。この訓練は、日本の事実上の空母「かが」を含む海上自衛隊艦艇と、米仏両国の空母部隊という構成で行われた初めての共同訓練となります。特に、この海域で他国空母との共同訓練が実施されるのは異例であり、海洋進出を強める中国を牽制する狙いがあるとみられています。訓練は5月13日から18日までの日程で行われました。
日米仏の連携強化:3カ国空母が太平洋に集結
今回の訓練には、日本の護衛艦「かが」をはじめ、アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」、フランス海軍の空母「シャルル・ドゴール」など、計11隻の艦艇と各国哨戒機が参加しました。対潜水艦戦や対空戦などの共同訓練を実施し、3カ国間の連携強化を図りました。国際的な安全保障環境が緊迫化する中、このような多国間協力は、地域の安定に大きく貢献するものと期待されています。
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空母「かが」の役割と今後の展望:F35B戦闘機の運用に向けて
今回の訓練で注目されるのは、海上自衛隊の護衛艦「かが」の参加です。「かが」は、航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの艦上運用を計画しており、事実上の空母へと改修が進められています。昨年には艦首の大規模改修や、米軍機による発着艦試験などが実施され、本格的な運用開始に向けて準備が進んでいます。防衛専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「かがの空母化は、日本の防衛力強化に大きな意義を持つ。F35Bの運用能力が加わることで、より広範囲な作戦展開が可能となるだろう」と指摘しています。
中国の海洋進出に対する抑止力:地域の安定と安全保障
今回の日米仏共同訓練は、中国の海洋進出を牽制する狙いがあるとみられています。中国は近年、南シナ海などで軍事活動を活発化させており、周辺国との緊張が高まっています。軍事アナリストの田中花子氏(仮名)は、「日米仏3カ国による共同訓練は、中国への明確なメッセージとなるだろう。自由で開かれたインド太平洋地域の維持に向けて、国際社会の連携が不可欠だ」と述べています。
訓練の成果と今後の課題:更なる連携強化に向けて
「パシフィック・ステラー」は、日米仏3カ国海軍の相互運用性向上に大きく貢献しました。対潜水艦戦や対空戦といった実践的な訓練を通じて、各国の戦術・技術の共有、そして意思疎通の強化が図られました。今後、更なる連携強化に向けて、定期的な共同訓練の実施や情報共有の深化が期待されています。