日米首脳会談における石破茂首相とドナルド・トランプ大統領のやり取りが注目を集めています。特に、石破首相がトランプ大統領の信仰心に触れたこと、そして故安倍晋三元首相への言及が、今後の日米関係を占う上で重要な意味を持つとされています。一体、どのような意図が隠されているのでしょうか?この記事では、政治評論家の後藤謙次氏の解説を交えながら、その真相に迫ります。
石破首相、トランプ大統領との宗教的共感を演出?
日米首脳会談の冒頭、石破首相はトランプ大統領が過去に狙撃事件に遭ったことに触れ、「大統領閣下はあの時、自分は神様から選ばれたと確信したに違いない」と語りかけました。この発言について、後藤氏は「綿密な準備に基づいた発言」と分析しています。
石破首相とトランプ大統領は共にプロテスタントであり、特にトランプ大統領はカルバン派であることが知られています。後藤氏によれば、石破首相は国会召集日の前日に、同志社大学神学部出身でキリスト教に造詣の深い作家・佐藤優氏と面会し、カルバン派における「選ばれし者」という概念についてレクチャーを受けたとのこと。
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石破首相自身も会談後、この点に触れ、「信仰の共通点が大統領との距離を縮めた」と述べていることから、意図的に宗教的共感を演出した可能性が高いと言えるでしょう。政治の世界において、このような個人的な共感は時に大きな力を持つことがあります。
故安倍元首相への言及は国内向けメッセージ?
さらに、石破首相は「第一次トランプ政権において、大統領閣下と今は亡き安倍氏の2人によって、その礎が築かれた」と述べ、故安倍晋三元首相への敬意を表しました。
この発言について、後藤氏は「安倍氏とトランプ大統領の蜜月関係を乗り越えるための戦略」と見ています。あえて安倍氏に言及することで、過去の功績を認めつつも、新たな時代を切り開くというメッセージを込めたと考えられます。
後藤氏は、この発言はトランプ大統領に向けたものではなく、むしろ国内政治を意識したものだと指摘しています。つまり、安倍氏の支持層にも配慮しつつ、自らのリーダーシップをアピールする狙いがあったというわけです。
新たな日米関係の構築に向けて
石破首相とトランプ大統領の会談は、宗教や故安倍元首相への言及など、様々な要素が絡み合った複雑なものでした。しかし、これらの要素は全て、新たな日米関係を構築するための布石と言えるかもしれません。今後の両国の関係は、石破首相の手腕にかかっていると言っても過言ではないでしょう。