第1回【“中学受験”過熱のウラで…わが子を「私立中に入れたい」ではなく「公立中に通わせたくない」と考える保護者が増加中 教育評論家が指摘する「公立中の課題」】からの続き──。「この私立中学校に通ってほしい」という理由から子供に中学受験を勧めるのではなく、「わが子は絶対に公立中学校へは通わせない」と固く決心して中受に誘導する保護者もかなりの数に上る(全2回の第2回)。
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なぜ、そこまで公立中に不満を持つのか、Xを検索すると内申書に対する不満を吐き出す投稿は多い。Xに殺到している怒りの声から一部をご紹介しよう。
《公立中学では内申書の締めつけが厳しく、生徒は規則にがんじがらめ》
《低学力、学級崩壊、八百長内申書の劣悪な環境の公立中学を子供に見せたくないのが愛情ある保護者》
《もうすぐ中学受験のお子さんがいる方と話してて、やっぱり出るのは「高校受験は内申書とか先生に気に入られないととか不透明、中学受験のほうがテスト一発でスッキリだから」という話》
生徒の評価は教師のさじ加減。それで高校受験の結果が左右されるのは絶対に納得できない──保護者の不満を要約すると、こんな感じだろうか。
教育評論家の親野智可等さんに内申書に対する批判についてどう考えるか聞くと、「内申書には功罪がありますが、確かに近年は“功”よりも“罪”の要素が増えている印象です」と言う。
「内申書が高校受験にどう活用されるかは地域差が非常に大きいのです。そのため一概に良いとか悪いというのは指摘することはできません。とは言え、保護者も子供も内申書と内申点を非常に気にしているのは全国共通の事実ですし、そのプレッシャーは看過できないレベルに達しているように思えます。ある中学生から『悩みごとがあっても先生が内申書に記録したら困るから、先生には相談しない』と教えてもらった時は考えさせられました。こうなると内申書には弊害があると見なすべきであり、生徒や保護者が納得できる評価システムに改善する必要があると思います」