アメリカのベッセント財務長官が日銀の植田総裁に対して「利上げをする必要がある」とアメリカのメディアで明らかにしました。この発言の影響で、日銀の利上げ観測が高まり平均株価は600円以上値下がりしました。
他国の金融政策に踏み込む異例の発言
トランプ大統領(先月25日 ロイター通信)
「聞こえは良くありませんが、ドル相場が弱くなるほうがはるかに多くの金を稼ぐことができます」
ドル安が望ましいと繰り返してきたトランプ大統領。これまで側近からも、ドル安を後押しする発言が飛び出しました。
ベッセント財務長官(13日 ブルームバーグテレビ)
「これは植田総裁の意見ではなく、私の意見ですが、日本はインフレ対応で出遅れていると思います。ですから、日本銀行は利上げを行うことになるでしょうし、インフレの問題を抑えこむ必要があります」
ベッセント財務長官は時期については明らかにしませんでしたが、日銀の植田総裁に対して、利上げしてインフレ対応をする必要があると主張。アメリカの財務長官が、他国の金融政策に踏み込んだ発言をするのは異例です。
FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利については、4.25%から4.5%にある現在の水準を1.5%から1.75%低くするべきだと述べたベッセント財務長官。
為替相場は一時1円以上円高が進み、3週間ぶりの高値に。日経平均は13日まで6日連続で上昇し、史上最高値をつけていましたが、14日は600円以上下げ4万3000円台を割り込みました。
トランプ大統領の思惑通り円高ドル安に?
日経平均が大きく値を下げるなか、堅実な動きをみせたのは銀行銘柄です。早期の利上げ観測を受け3メガバンクは軒並み上昇しました。
ベッセント財務長官の発言について、専門家のソニーFG・渡辺浩志チーフエコノミストはこう分析します。
「トランプ大統領に対する忖度(そんたく)という面が強かったのではないかと思います。トランプ大統領はアメリカの低金利とドル安を志向しているので、日銀に対して利上げの圧力をかけることで、日本の円安が過度に進まないように円安を牽制(けんせい)することで、ドル安に持っていきたい意図があったのではないか」
今後はトランプ大統領の思惑通りに円高ドル安に向かっていくのでしょうか?渡辺チーフエコノミストは、こうみています。
「どんどんとアメリカが利下げをできるか、あるいは日本がどんどんと利上げをできるかというと、ある程度限界があると思うので。日米の金利差の観点から言うと、円高進行するにしても、その幅は大きなものにはならないのではないかと思う」
(「グッド!モーニング」2025年8月15日放送分より)
テレビ朝日