スポーツ試合でアメリカ国歌が流れると……観客席から大ブーイング。カナダで相次ぐも、意見は二分「歌手に非はないのに…」「類を見ない愛国心」


【映像を確認する】スポーツ試合でブーイングの嵐。SNSに投稿された動画

▼ドナルド・トランプ大統領就任以来、カナダで高まっている反米感情

トランプ大統領は、カナダからアメリカへの輸入品には25%の関税を課す大統領令に署名した。昨年12月にはトランプ氏が「カナダをアメリカの51番目の州に」と発言、世論調査によるとカナダ国民の9割が反対している。

▼カナダ各地で起こっている、スポーツ試合でのブーイング

同日バンクーバーで開催されたNHL(ナショナルホッケーリーグ)のバンクーバー・カナックス対デトロイト・レッドウィングス戦でも、同様の場面がみられた。

AP通信によると、その前日もオタワやカルガリーで開催されたNFLの試合で同じ現象が起きたという。アメリカのチームが対戦相手の試合では、ほぼ毎回ブーイングの嵐だ。

ラプターズの試合でアメリカ国歌を歌っていたのは15歳の少女で、「彼女に非はない」「スポーツに政治を持ち込むな」とブーイング行為を批判する意見もある。

▼ブーイングは、2月12日からカナダ・モントリオールで開催されているNHL4カ国対抗(1次リーグ)でも

初戦はカナダ対スウェーデン。アメリカ国歌が流れる場面はなかったものの、カナダ国家斉唱で珍しい盛り上がりを見せ、SNSで話題になった。

国歌斉唱を担当したザ・ビーチーズのボーカル、ジョーダン・ミラーは「自分の声が聞こえないくらいの大合唱だった」と動画を投稿した。

試合後の会見で、カナダチームのコーチ、ジョン・クーパーは、対アメリカ戦でブーイングをしないよう求めた。「ブーイングする代わりに、素晴らしいホッケーの試合に声援を送ってほしい」と述べている。

ところが2月15日のカナダ対アメリカ戦で、「国歌斉唱を尊重するよう」会場でアナウンスがあったにもかかわらず、観客席からはブーイングの嵐が起きた。

結果は、3対1でアメリカの勝利。カナダのドリュー・ダウティ選手は、「もちろん何が起きているか知っているし、カナダ人のいら立ちも理解できる」としたうえで、「国家みたいなものは尊重するべきだと思う」と、ブーイングに反対の立場を示した。

アメリカのコナー・ヘレビュク選手は、ブーイングを「気にしていない」と語る。

「カナダの人々には言論の自由があります。ブーイングは、私にとって特に何の意味も持ちません。好きにしたらいい。個人的に、私は(普段)ブーイングをしませんけどね」

▼カナダ人ジャーナリストの見解。今後カナダで「類を見ない愛国心の表現を目撃することになる」

カナダ人はあまり自己主張が強くなく、「この種の愛国主義に慣れていない」と前置きしつつ「非常に強力な隣国の妨害を恐れている」と語った。

「私たちは、祖国への献身と愛情を表現する場を求めています。(ブーイング)その方法であり、必要な行為です」



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