【AFP=時事】イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻をナチス・ドイツの侵略になぞらえたのを受け、ロシアが猛反発している。
マッタレッラ氏は今月、フランスのエクス・マルセイユ大学で講演し、第2次世界大戦勃発(ぼっぱつ)に至った背景について、「権威主義的な傾向」によって「協力よりも支配行為が是認され、その後、征服戦争が起きた」と解説。
「それが欧州における(ナチスの)ドイツ第三帝国の計画だった。現在のロシアによるウクライナ侵攻もまさに同様の性質を持っている」と指摘した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は14日、「この比較は明らかに虚偽の史実に基づいている」と非難。
イタリアが北大西洋条約機構(NATO)加盟国と共にウクライナに軍事支援を行っていることについて、「テロリストであるウクライナのネオナチ政権に最新の殺傷兵器を供給している」と糾弾した。
さらに16日にもマッタレッラ氏について、「歴史的にわが国を攻撃した国の大統領」だと改めて批判。「不幸にも、イタリアはファシズム発祥の国だ」とし、第2次大戦中にナチス・ドイツと同盟を結んだベニト・ムソリーニ政権に言及した。
これに対し、イタリアの政治家はマッタレッラ氏を擁護。ジョルジャ・メローニ首相も、ロシア政府の発言は「イタリア国民全員への侮辱」だと非難した。
イタリアはかつて西側最大の共産党を有し、ロシアとも友好的な関係を保っていた。2023年に死去したシルビオ・ベルルスコーニ元首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と個人的に親交を結び、一緒に休暇を過ごしたこともあった。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、イタリアはマリオ・ドラギ前政権とメローニ政権の下、ウクライナ支持を強く打ち出してきた。
ただし、これまでのところウクライナに対しては、イタリアの武器を使用したロシア領攻撃は許可していない。【翻訳編集】 AFPBB News