韓国の大企業の賃金水準が、日本やEU平均を上回り、世界トップクラスであることが、韓国経営者総協会の調査で明らかになりました。購買力平価（PPP）換算での年間賃金総額は、日本よりも5割以上高く、EU平均をも凌駕しています。一体なぜ、韓国の賃金はこれほどまでに高いのでしょうか？この記事では、その背景や今後の展望について詳しく解説します。
韓国大企業の賃金水準、世界トップクラスの理由とは？
韓国経営者総協会が発表した「韓日EU企業規模別賃金水準国際比較」によると、2022年時点の韓国大企業の年間賃金総額（PPP換算）は、なんと約1,323万円！これは日本企業の約53%増、EU20カ国平均をも8%上回る驚きの水準です。この結果、韓国はルクセンブルク、ドイツ、フランス、アイルランドに次いで世界5位にランクインしました。市場為替レート換算でも日本やEU平均を上回り、7位となっています。
韓国大企業の賃金推移
驚異的な賃金上昇率の背景
2002年から2022年までの20年間で、韓国大企業の賃金は157.6%も上昇しました。これはEU平均の84.7%増、日本の6.8%減とは対照的な結果です。韓国経済の高度成長、グローバル企業の躍進、そして労働組合の積極的な活動などが、この驚異的な賃金上昇の背景にあると考えられます。例えば、韓国の自動車メーカーやIT企業は世界市場で大きな成功を収めており、その収益が従業員の賃金にも反映されていると言えるでしょう。食品業界の専門家、パク・ソジュン氏（仮名）は、「韓国企業は、優秀な人材を確保するために、積極的に賃金を引き上げている」と指摘しています。
中小企業の賃金格差にも注目
大企業だけでなく、中小企業の賃金も日本より高い水準にあります。PPP基準で比較すると、韓国の中小企業の年間賃金は約593万円で、日本よりも約20%高くなっています。しかし、EU平均には及ばず、今後の課題となっています。
高賃金がもたらすメリットとデメリット
高賃金は、従業員の生活水準向上や消費の活性化につながる一方で、企業の収益性を圧迫する可能性もあります。韓国経済の今後の成長のためには、賃金上昇と企業の競争力強化のバランスをどのように取っていくかが重要な課題となるでしょう。経済アナリストのキム・ミンジ氏（仮名）は、「高賃金は優秀な人材を惹きつける一方で、企業のコスト負担を増大させる。持続可能な経済成長のためには、生産性向上と賃金上昇の好循環を構築することが不可欠だ」と述べています。
韓国の経済成長
今後の展望と課題
韓国の賃金水準は、今後も高止まりが予想されます。しかし、世界経済の不確実性が高まる中、韓国企業は競争力の維持・向上に努める必要があります。技術革新、人材育成、そしてグローバル市場への積極的な展開など、様々な取り組みが求められています。
この記事では、韓国の賃金水準について解説しました。今後の動向にも注目していきましょう。
