日中経済協会の訪中団が北京での日程を終え、様々な憶測を呼んでいます。過去最大規模となる約230名もの経済界トップが参加したにも関わらず、中国側からは最高指導部ではなく、序列が低い何立峰副首相が対応しました。この事実は、日中間の経済格差拡大と日本の存在感低下を象徴しているのでしょうか?
経済格差拡大と日本の存在感
日中経協の進藤孝生会長(日本製鉄相談役)は、中国側が日本を軽視しているわけではないと強調しました。しかし、習近平国家主席の側近である何立峰副首相は、党の最高指導部には入っていません。2014年9月以来となる最高指導部との会談見送りは、日中関係の現状を反映していると言えるかもしれません。
中国の何立峰副首相(前列右から2人目)と記念撮影する十倉雅和経団連会長(同中央)、進藤孝生・日中経済協会会長(同右端)、小林健・日本商工会議所会頭(同左端)=17日、北京の人民大会堂(代表撮影・時事)
経済アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「かつて中国経済を大きくリードしていた日本は、今やその4分の1以下の規模に縮小しています。この経済格差は今後さらに広がる可能性が高く、中国における日本の影響力低下は避けられないでしょう」と指摘します。
日米首脳会談の影響は?
会談に先立ち、中国側の国家発展改革委員会は、日米首脳会談の共同声明で中国への批判が盛り込まれたことに強い懸念を示しました。東シナ海問題などを巡る中国への名指し批判は、中国側にとって看過できない内容だったと考えられます。このことが、今回の冷遇につながったという見方も否定できません。
北京駐在の日系企業幹部は、「今回の最高指導部との会談見送りは、端的に言って日本の重要性の低下を示している」と分析しています。
今後の日中経済関係
日中経済関係は、両国にとって重要な意味を持ちます。しかし、現状を見る限り、日本は中国との関係構築において新たな戦略を模索する必要があると言えるでしょう。経済規模の差は今後さらに拡大することが予想され、日本は中国市場への依存度を下げつつ、新たな成長戦略を策定していくことが求められます。
中国の何立峰副首相と会談する日中経済協会の訪中団=18日、北京(代表撮影・時事)
今回の訪中団の結果は、今後の日中経済関係の行方を占う上で重要な指標となるでしょう。日本企業は、中国市場の動向を注視しつつ、柔軟な対応を心がける必要がありそうです。