ホンダとの協業も破談に終わり、日産の今後が非常に気になるところ。財務状況などを考えれば非常に厳しい段階にあるかもしれないが、日産は盤石の体制で復活を目指すしかない。やはり他からの手を借りるしか方法はないのか?いやいや、自社再建の道だって完全に閉ざされたわけではないはず。日産に詳しい自動車評論家が迫ります。がんばれ、日産!!
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文:国沢光宏/文:ベストカーWeb編集部
足を引っ張るのは「クルマを知らない」取締役の判断
自力での再興は難しいと言われている日産ながら、2025年2月18日に公開されたフィナンシャルタイムズ(英)の「内田社長が退けばホンダ再考」というニュースにより株価急上昇となった。内田社長の退任=日産の自主再建を期待するということでもある。
果たしてホンダという”保証人”が付けば日産は立ち直るだろうか?結論から書くと、大いに可能性あると思う。以下、いつもより詳しく紹介したい。
まず日産の低迷だけれど、技術力不足から来ているのでは無い。例えば高速燃費が悪いと言われているe-POWER。クルマに少し詳しい人なら、e-POWERのカットモデルなど見れば「あらら?クランクシャフトと駆動用モーターは簡単に直結できますね!」と分かるだろう。
この件、何度かパワーユニットを設計した人に聞いたのだけれど「ご想像にお任せします」(笑)と逃げられた。すでにホンダと三菱で直結モード付きの2モーターハイブリッドを出していたこともあり、当然ながら日産も想定していたと思う。
ただ直結用のクラッチが必要だし(日産は直結クラッチ付きハイブリッドをラインアップしていた)、滑らかさを出すために開発時間も掛かる。
加えて日本国内の交通モードなら直結モード無しで燃費を稼げると判断したのだろう。当時なら妥当だと思う。
日産の技術を持ってすれば直結も簡単なこと。ただお金と経営陣の許可が必要。関係者に話を聞いてみると、クルマの技術を全く知らない役員から直結モードを強行に反対されたと言う。
反対の理由は大きく2つ。コスト高になることと「電気自動車と同じ滑らかでパワフルな走りが出来る」という点をアピール出来なくなるからだ。日産の技術は一事が万事、経営陣によって潰されてきた。
デザインも日産の足を引っ張っている。総責任者であるアルフォンソさんはセンスあると思う。されど最近下に任せっぱなし。日産は(1)日産の乗用車(2)日産SUV(3)インフィニティという3人の責任者がいるけれど、(2)を除き売れるクルマを理解していない。
日産のデザイン、カッコ悪いコンセプトカーを見ればよ〜く解る。これまた今のままだと低迷するばかり。
販売だって同じだ。アメリカはインセンティブと呼ばれる販売奨励金(日本で言う値引きと同じ意味合い)をシコタマ付けているから儲かるワケない。
逆に日本国内はベテランの営業担当者にすら全く裁量権を与えなかったり、電気自動車に必ず必要な充電ケーブルをオプションにし、そいつも利益にするなどユーザーのことなど全く考えない。取締役の指示だという。