転職ネイティブ世代は「こんなはずじゃなかった」ですぐ離職 「リベンジ転職」の落とし穴とは


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■「休んでばかり」「ずるい」と言われ

 昨春、東京都内の私立大学を卒業し、幼稚園に勤める中島美和さん(23、仮名)は、「第二新卒」の転職活動の真っ最中だ。

中島さんは就職直後、体調を崩し、有休を使って休むことがあった。職場は女性が多く、先輩や同僚は笑顔で、気づかいの言葉をかけてくれた。

「いい人ばかり。職場に恵まれた」

 そう思っていた。

 ところがある日、園長からこう切り出された。

「あなた、みんなから『休んでばかりだよね』『ずるい』って言われているのよ」

 ショックだった。それ以降、陰で何か言われているかもしれないと思うと、職場に出勤するのが怖くなった。女性同士の人間関係の難しさを実感した。

――この環境で働き続けたら、自分が壊れてしまうかもしれない。

 そう感じた中島さんは、転職サイトに登録した。

「改めて業界研究をしました。次は全く別の業界で働くつもりです」(中島さん)

■転職サイトの登録者数28倍に

 2024年、入社直後の4月に大手転職サイト「doda(デューダ)」に登録した新社会人の数は、調査を開始した11年比で約28倍に増加した(実数は非公開)。24年は23年、22年に次ぐ過去3番目に多い水準になった。ここ数年、「1年以内」「1~3年以内」の転職を希望する新社会人の割合は4割を占めるという。

 dodaの桜井貴史編集長はこう話す。

「入社直後に違和感を抱き、『こんなはずじゃなかった』と、転職の相談を受けることが多いと感じています」

 その理由のひとつとして、桜井さんが挙げるのがコロナ禍だ。

 確かに、冒頭の中島さんの大学時代はコロナ禍の真っただ中、インターンシップが中止され、対面での説明会や面接ができない企業が続出した。

 就職活動の第一歩ともいえる業界研究が十分にできないまま就職した結果、多くの「ミスマッチ」が生じてしまったのではと、桜井さんは指摘する。

■コロナ禍の影響で「リベンジ転職」する人も

 コロナ禍では、企業の新卒採用活動の「中止」「縮小」も相次いだ。希望していた業界への就職を断念する大学生もいた。

「採用が再開されるのを待って、当初、希望していた業界への『リベンジ転職』をする人もいます」(桜井さん、以下同)

 そして、コロナ禍が明けると、反動で人手不足が深刻化し、人材の獲得競争が激しくなった。早期に内定を出す企業が増えた。このこともミスマッチを生んでいる。

「『自分は何をやりたいのか』、十分に分析しない段階で内定をもらい、就職した結果、『この会社ではなかった』というギャップを感じる。この状況は今も続いています」



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