「電気代が安くなります」「インターネットのセキュリティーのご案内」―。知らない番号から日々、かかってくる勧誘電話。その中にフリーダイヤル「0120」から始まる番号がある。「ここ数年は特に多く、今では8割以上。着信者が電話料金を支払うのでしょうか?」。長野県長野市内でパン店を営む60代男性が、本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に疑問を寄せた。興味のない内容で、さらに着信側が料金を取られるとしたら腹立たしい―。仕組みについて電話事業者に取材した。(井口賢太)
通話料は発信した業者側の負担
ドコモビジネスソリューションズ長野支店(長野市)の担当者に読者の投稿について尋ねると「なるほどですね…」。結論から言うと、フリーダイヤルでかかってきた電話に出ても通話料の負担は生じないことが分かった。
同社によると、フリーダイヤルは親会社のNTTコミュニケーションズ(東京)が提供しているサービスだ。1999年にそれまで運営していたNTTから引き継ぎ、ドコモビジネスソリューションズが法人契約を担当。契約者は主に事業者で、広く営業活動に利用されている。
業者が勧誘でかける場合は…
電話をかける際、通常は発信側が通話料を負担するが、フリーダイヤルは発信側の負担はなく、着信側に支払いが生じる仕組みだ。一方、業者側が勧誘などでかける際は一般の番号から発信しているが、相手側の携帯電話やナンバーディスプレイに表示される番号を変更する「特定番号通知」サービスを使ってフリーダイヤルの番号を表示させているという。支払いは業者側の負担だ。
折り返してもらうための「配慮」
では、なぜフリーダイヤルを相手に表示させるのか。同支店の担当者は「折り返し電話してもらう場合、料金を負担させないという配慮が考えられる」とする。
相手が興味がない営業などで折り返しの際に通話料がかかってしまうと、トラブルにつながりかねないからだ。こうした「配慮」のため、業者の規模や業種を問わずフリーダイヤルの取得は徐々に増えているという。