ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ウクライナ戦争の早期終結を訴えるトランプ米大統領について「ロシアの偽情報に取り込まれている」などと批判した。トランプ氏がウクライナ支援の対価として5千億ドル(約76兆円)相当のレアアース(希土類)権益の譲渡を求めていることに関しても「国を売ることはできない」とし、容認できないとの立場を示した。
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首都キーウ(キエフ)で開いた記者会見の発言をロイター通信などが伝えた。過去にない厳しい発言で、ロシア寄りの姿勢を示すトランプ米政権への不満を鮮明にした。
ゼレンスキー氏はトランプ氏が18日に「ゼレンスキー氏の支持率は4%だ」と発言したことについて「事実と異なる」とし、トランプ氏はロシア発の情報をうのみにすべきではないと指摘した。直近の世論調査でゼレンスキー氏の支持率は57%とする結果が出ていた。
ゼレンスキー氏はまた、開戦後の米国からの支援額は計1千億ドル弱だとし、レアアースを巡るトランプ氏の要求は法外だとする認識を示した。
ゼレンスキー氏はトランプ政権を「ロシアを孤立から救おうとしている」とも批判。トランプ政権がウクライナでの大統領選実施に言及していることについて「誰かが私を交代させようとしたとしても、今すぐは無理だ」と述べた。
ゼレンスキー氏は18日にも、ウクライナ抜きでロシアとの外相級協議を開いたとしてトランプ政権を非難していた。
19日にはケロッグ米特使(ウクライナ・ロシア担当)がキーウを訪問した。3日間の滞在中にゼレンスキー氏と会談する予定で、両国の見解相違の緩和につながるかが焦点となる。(小野田雄一)