日本の食卓を支える主食、お米。近年、その価格が高騰し、家計への負担が深刻化しています。今回は、米価高騰の背景にある「転売ヤー」の存在と、私たちの食卓への影響について掘り下げていきます。
転売ヤーによる米価高騰の実態
マスク不足の際に社会問題となった「転売ヤー」。実は、米市場にも彼らの影が潜んでいます。フリマアプリなどでは、市場価格をはるかに上回る価格で米が出品されているケースが後を絶ちません。中には、農家自身が高値で転売しているケースもあるというから驚きです。まるでゲーム機器やブランド品のように、生活必需品である米が投機の対象となっている現状に、多くの消費者が不安を抱えています。
alt 転売ヤーが高値で販売するお米の例
米価高騰の真犯人は誰?農水省の見解と専門家の分析
農林水産省は、米価高騰の原因を「流通全体の目詰まり」と説明しています。しかし、米流通評論家の常本泰志氏は、政府の備蓄米放出は一時的な効果しかなく、根本的な解決にはならないと指摘しています。
常本氏によると、米農家の高齢化と廃業、それに伴う作付面積の減少が、米価高騰の根深い原因とのこと。「若い担い手を増やす、農地の集約を加速させるなど抜本的な対策をしないと、米価高騰は続く」と警鐘を鳴らしています。食料安全保障の観点からも、日本の農業の未来に不安を感じざるを得ません。
私たちにできること:賢い消費者として米と向き合う
米価高騰は、私たちの食生活に大きな影響を与えています。節約志向の高まりや、代替食品への需要増加など、消費者の行動にも変化が見られます。
専門家の中には、「米の銘柄にこだわらず、ブレンド米や輸入米を検討するのも一つの方法」とアドバイスする声も。また、生産者と直接取引する産直サイトの利用や、株主優待で米を受け取れる企業への投資など、様々な選択肢も生まれています。
alt 江藤拓農林水産大臣による政府備蓄米放出の発表
未来の食卓を守るために
米価高騰は、一時的な問題ではなく、日本の農業が抱える構造的な問題を浮き彫りにしています。転売ヤーの取り締まりはもちろん重要ですが、それだけでは解決には至りません。生産者支援、流通改革、そして消費者一人ひとりの意識改革が必要です。未来の食卓を守るために、私たちは何ができるのか、改めて考えなければいけない時期に来ていると言えるでしょう。