図書館職員の雇用不安:会計年度任用職員の待遇改善を求める声高まる

図書館は地域社会にとってなくてはならない存在です。知識の宝庫であり、人々の学びや成長を支える重要な役割を担っています。しかし、その図書館を支える職員の多くが、不安定な雇用環境に置かれている現状をご存知でしょうか。本記事では、公共図書館や学校図書館で働く会計年度任用職員の現状と、待遇改善を求める声について詳しく解説します。

公共図書館・学校図書館における会計年度任用職員の現状

全国の公共図書館や学校図書館では、職員の多くが会計年度任用職員として働いています。公共図書館では4割以上、学校図書館に至っては9割近くが会計年度任用職員という現状です。会計年度任用職員は1年ごとに契約が更新されるため、雇用の安定性が低いことが大きな課題となっています。

alt="図書館職員の集会の様子"alt="図書館職員の集会の様子"

文部科学省は「1校につき学校司書1人」を推進していますが、実際には1人の職員が複数の学校を掛け持ちしているケースが多く、過酷な労働環境が問題視されています。図書館問題研究会や公務非正規女性全国ネットワークなど、図書館職員の待遇改善に取り組む団体は、継続雇用の実現や待遇改善を求める要望書を総務大臣と文部科学大臣に提出しています。

会計年度任用職員の待遇における課題

日本図書館協会(日図協)が2023年に行った学校図書館職員を対象とした実態調査によると、会計年度任用職員の平均月収は約17万3000円。正規職員の平均月収約31万9000円と比較すると、大きな格差があることが明らかになっています。

低賃金だけでなく、賞与が支給された代わりに時給が引き下げられ、年収は据え置きという事例も報告されています。図書館職員からは、「20年近く働いているが、待遇が良くなったことは一度もない」「馬鹿にされている気持ちになった」といった悲痛な声が上がっています。

alt="美しい図書館"alt="美しい図書館"

図書館学の専門家である、架空大学図書館情報学部教授の山田一郎氏もこの現状を憂慮しています。「図書館職員は、地域住民の学習支援や情報提供といった重要な役割を担っています。彼らの不安定な雇用環境は、図書館サービスの質の低下にも繋がりかねません。待遇改善は喫緊の課題です」と述べています。

図書館の未来のために

図書館は、地域社会の知的基盤を支える重要な施設です。その図書館を支える職員が安心して働ける環境を整備することは、図書館サービスの質の向上、ひいては地域社会の発展に不可欠です。会計年度任用職員の待遇改善に向けた取り組みは、図書館の未来を守るためにも重要な課題と言えるでしょう。