備蓄米の放出決定で「市場が動き出した」と話した江藤拓農林水産大臣。ただ、お米の現場を取材すると、そう簡単にはいかない事情があるようです。
■本来、コメが安い「道の駅」でも…
茨城県にある「道の駅」。コメ売り場に異変が…。
道の駅 まくらがの里こが 山本樹弥店長代理
「(Q.ガラガラですね)去年に比べると、去年は8〜9件(出荷する)農家がいたが、今年はこの時期2〜3軒に減っている」
地元の農家が育てたコメを直売するコーナー。売るコメが、ほとんどありません。そのワケは?
道の駅 まくらがの里こが 山本樹弥店長代理
「新米の時期に客がすごく大量に買って、そこから少なくなっているので、一気に減ってしまった」
道の駅には、茨城だけでなく他の県からもお客さんがやってきます。ところが…。
栃木から(50代)
「コメが高くて買えない」
埼玉から(60代)
「今も家にはコメ30キロと10キロがあって、値上がりしてからはずっと買ってない」
全国のスーパーを調査したコメの平均価格は去年3月、5キロで2000円ほどだったのが、新米が出回る9月には3000円台に高騰。今月は3829円と6週連続で値上がりし、去年の2倍近くに。
本来、コメが安い道の駅でも、今や5キロ4000円にまで値上がりするほど、異例の事態です。
埼玉から(60代)
「コメが好きなので、高くてもコメは置いておきたい」
価格高騰の歯止めとして期待されるのが「政府備蓄米の放出」です。
来月半ばにも集荷業者に売り渡される見込みで、農水大臣は「流通市場が動きだした」との見方を示しています。
江藤農水大臣
「先物市場を見ても、今までにない枚数が取引されている。流通市場が動き出したと受け止めていいのでは」
■“備蓄米放出”控え…コメ市場は動いた?
20日、道の駅にコメを持ってきた農家は2件のみです。
こちらの農家は5キロの袋を12個出荷。売値は「コシヒカリ」が3800円(5キロ)、「ミルキークイーン」は4000円(5キロ)に設定します。
去年より1000円ほど値上げせざるを得ない理由が…。
コメ農家 森ファームサービス 秋田尚之さん
「道の駅でも(以前は)若干他の農家よりも(価格を)高めにしていた。ある時、一番安くなっちゃった。いきなり(市場の)価格が変わっちゃって。そうすると、うちの(コメ)ばっかり売れちゃう」
市場価格より際立って安くすることで、弊害が生じる恐れがあるといいます。
コメ農家 森ファームサービス 秋田尚之さん
「転売につながる恐れもある、買い占めとか。やむなく価格を合わせざるを得ない状況。早くコメの価格が安定しないかと願っている」
売り場ではコメ不足の状況が続くなか、収穫されたコメはどこに消えたのでしょうか?
道の駅にコメを出荷する農家の倉庫を見せてもらうと、中には大量のコメ袋が積まれていました。
コメ農家 森ファームサービス 秋田尚之さん
「これが1つ約1トン。こちらに50本ぐらいある」
2つの倉庫に合わせて75トンものコメが…。保管された大量のコメ。果たして、その行き先は…?