トランプ政権のウクライナ政策、国際社会の批判を浴びる:鉱物要求とゼレンスキー氏への非難

ウクライナ紛争開始から3年が経過する中、ドナルド・トランプ米政権の対ウクライナ政策が、西側諸国から激しい批判に晒されています。ウクライナを排除したままロシアとの終戦交渉を進める姿勢や、ウクライナへの過剰な鉱物資源要求などが、国際社会の不信感を招いているのです。今回は、トランプ政権のウクライナ政策が抱える問題点と、その国際社会への影響について深く掘り下げていきます。

ウクライナへの鉱物資源要求:マフィア式帝国主義との批判も

トランプ政権は、ウクライナへのこれまでの軍事支援の見返りとして、5000億ドル相当の鉱物資源を要求しています。ウクライナ側は、これまでの軍事支援総額が692億ドルであることを考慮すると、この要求は過剰であると反発しています。

altalt

さらに、ロイター通信によれば、米国はウクライナがこの提案を拒否した場合、スペースX社の衛星インターネットサービス「スターリンク」を遮断する可能性があると警告したと報じられています。ウクライナ軍はドローン運用などにスターリンクを大きく依存しているため、遮断されれば戦況に大きな影響が出ることが懸念されます。

ガーディアン紙は、専門家の意見として、米国のこのような要求は「マフィア式帝国主義」や「植民地的協定」を彷彿とさせると指摘しています。一方、スペースX社のイーロン・マスクCEOはこの報道を否定し、ベセント財務長官もウクライナの天然資源からの収益は再建基金に充てられると反論しています。しかし、国際社会の批判は収まっていません。

ウクライナパッシングの終戦交渉とゼレンスキー氏への非難

米国はウクライナを排除したままロシアとの終戦交渉を進めており、この「ウクライナパッシング」も問題視されています。さらに、トランプ大統領はゼレンスキー大統領を「支持率4%の独裁者」などと公然と非難しており、両国の関係は悪化の一途を辿っています。

一方で、トランプ政権はロシアへの批判は抑制的です。AP通信によると、国連に提出された決議案では、ウクライナ紛争をロシアによる「侵略」ではなく両国の「紛争」と表現し、ウクライナの領土主権に関する言及も削除されました。

専門家からの警告:米国の国際的地位低下への懸念

元CIA欧州・ロシア支部責任者のMarc Polymeropoulos氏は、トランプ氏のウクライナへの裏切りは同盟国や国際社会の米国への信頼を失墜させ、将来的に米国の安全保障に悪影響を及ぼすと警告しています。

ニューヨーク・タイムズ紙も社説で、ウクライナと欧州同盟国を排除したロシアとの終戦交渉は米国の外交原則に反すると批判しています。トロント大学のOlga Chyzhy教授は、米ロ終戦交渉の最大の敗者は米国になるとの見方を示し、米国の国際的地位低下を懸念しています。

これらの批判は、トランプ政権のウクライナ政策が、単にウクライナだけでなく、国際社会全体の秩序と安全保障を脅かす可能性があることを示唆しています。今後の動向に注目が集まります。