ウクライナ停戦交渉:マクロン仏大統領とスターマー英首相、トランプ米大統領との会談で欧州の立場を主張へ

ウクライナ紛争の停戦に向けた動きが加速する中、フランスと英国の首脳が相次いで米国を訪問し、トランプ大統領との会談に臨みます。ロシアへの強硬姿勢を崩さない欧州と、早期停戦を望む米国の溝を埋めることができるのか、世界が注目しています。

マクロン仏大統領、トランプ大統領に「プーチン氏に弱腰ではいけない」とクギ刺し

マクロン仏大統領は23~24日に訪米し、トランプ大統領とウクライナ停戦交渉について協議します。マクロン大統領は自身のSNSで、「プーチン大統領に対して弱腰ではいけない。それはあなたの利益にならない」とトランプ氏に伝える意向を表明しています。

マクロン大統領とトランプ大統領マクロン大統領とトランプ大統領

かねてから「ロシアの侵略に見返りを与えてはならない」と主張してきたマクロン大統領。停戦交渉でロシアに譲歩する姿勢を見せるトランプ大統領に対し、ウクライナの中立化など不当な要求に応じないよう、直接クギを刺す狙いがあると見られます。

仏英、最大3万人の欧州部隊派遣計画を検討か

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、フランスと英国は、停戦後のウクライナの安全保障として、最大3万人の欧州部隊を派遣する計画を検討しているとのこと。停戦交渉における発言権を確保し、米国も停戦維持に関与するようトランプ氏を説得できるかが焦点となります。

スターマー英首相、米英の緊密な関係をテコに橋渡し役を志願

27日に訪米予定のスターマー英首相も、マクロン大統領と同様に、ロシアに歩み寄る米政権の姿勢に危機感を抱いています。スターマー氏は英紙デイリー・テレグラフへの寄稿で、「プーチンのさらなる侵略を抑止するにはウクライナの永続的和平の確保が不可欠で、それには欧州と米国が緊密な協力を続ける必要がある」と訴えました。

スターマー首相スターマー首相

「英国は独特の役割を果たせる」とも述べ、歴史的に緊密な米英関係をテコに、米欧間の橋渡し役として溝の解消に尽力する意気込みを示しています。しかし、人権問題を専門とする弁護士出身のスターマー氏と、社会的弱者への支援に否定的なトランプ氏との間には、大きな隔たりがあるのも事実です。

ドイツ総選挙後の新政権発足に時間を要する見込み

フランス、英国以外の欧州主要国では、ドイツが23日に総選挙を実施。次期政権発足には時間を要する見通しで、ウクライナ停戦交渉への影響が懸念されます。欧州連合(EU)を牽引するドイツの動向も、今後の交渉の行方を左右する重要な要素となるでしょう。

欧州と米国の協調は実現するか?

ウクライナ停戦に向けた国際社会の取り組みは、予断を許さない状況が続いています。マクロン大統領とスターマー首相の訪米が、米欧間の溝を埋め、停戦実現への道筋をつけることができるのか、今後の展開に注目が集まります。