ウクライナ紛争開始から4年目。長期化する戦争の影が色濃く落ちる中、モスクワ市民の生活、そして彼らの本音に迫ります。和平への期待、出口の見えない不安、揺れ動く想いをjp24h.comが独自取材しました。
戦争の爪痕:変わりゆくモスクワの日常
一見、普段通りの生活が続くモスクワ。しかし、市民生活の細部には、紛争の影響が確実に及んでいます。輸入品の不足、経済制裁による物価上昇など、人々の暮らしは確実に変化しています。
モスクワのバス停に掲出されたロシア軍の契約兵募集の看板
街頭インタビューでは、多くの人が米露交渉の開始を歓迎し、紛争終結への期待を口にしました。18歳の若者は、「トランプ氏を信じたい。紛争が解決し、コカ・コーラが戻ってきてほしい」と笑顔で語りました。
平和への希求:揺れる市民感情
一方で、長引く紛争への苛立ち、将来への不安を抱える人々も少なくありません。「世界は狂ってしまった」と吐き捨てるように語る中年女性。言論統制が厳しいロシアで、このような率直な意見を聞くことは稀です。取材に応じない人も多く、市民の本音を探るのは容易ではありません。
24歳の息子を兵士としてウクライナに送った母親は、「戦争が終わってほしい。ただただ、息子が無事に帰ってきてほしい」と涙ながらに訴えました。米露交渉に一縷の望みを託す彼女の言葉は、多くの母親たちの心情を代弁していると言えるでしょう。
モスクワの街の様子
出口はどこに:経済制裁と将来への不安
外資系企業に勤める38歳の男性は、「戦争が終わってほしいのは皆同じ。人道的な観点からも、交渉は不可欠だ」と強調しました。経済制裁の解除にも期待を寄せ、「時間はかかるだろうが、徐々に状況は改善するだろう」と語りました。
27歳の男性は、「もううんざりだ。これ以上、犠牲者が出ないでほしい」と率直な思いを吐露しました。米露対話については、「3年間の空白を埋めるには、1年では足りないかもしれない」と慎重な見方を示しました。
世論調査に見るロシア社会の現状
独立系世論調査機関レバダセンターの調査によると、ロシア国民の約8割が「ロシアは勝利する」と考えている一方、「和平交渉開始」を支持する声も過去最高を記録しました。出口の見えない状況に、国民の焦燥感は高まっていると言えるでしょう。(レバダセンター、2025年1月調査)
著名な政治学者、アレクセイ・イワノフ氏(仮名)は、「プーチン大統領は戦況の優位性と米露交渉の進展に自信を持っているようだ。しかし、国民の厭戦気分の高まりは無視できない」と指摘します。
不透明な未来:それでも希望を捨てない
ウクライナ紛争の長期化は、ロシア社会に深い影を落としています。しかし、インタビューを通して、多くの人々が平和への希望を捨てていないことが分かりました。一日も早い紛争終結と、平和な日常の回復を願うばかりです。
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